ムービー
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ムービー (movie)
- 映画のこと。
- 映像作品全般のこと。
- コンピュータゲームに挿入されているデモンストレーションシーン。本項ではこれについて述べる。
- 家電業界用語で、商品ジャンル分類上、カムコーダのことをムービーと呼ぶ場合がある。
コンピュータゲームにおけるムービーは、ハードウェアの高性能化とCD-ROMに代表される安価な大容量記録メディアの普及から使われるようになった。読み込みながら再生する必要があるため、必然的に操作が必要でなく、ゲーム進行に影響を与えにくい場面に使用されることが多くなった。例えばオープニングデモやエンディングデモ、あるいは物語上で特別なイベントが発生した時などである。あらかじめ作っておいた動画を再生するだけで良いため、ゲーム機上で実行されるプログラムが描き出す映像よりも高度なCG映像、映画のような実写、生演奏の音楽などを用いることができる。
広義でムービーと呼ぶ事が出来るシーンは黎明期のコンピュータゲームから存在していたが、現在「ムービー」という言葉を用いる場合、プレイステーションのレベル以上のハードウェアのテレビゲームに見られる上記のようなシーンを表す用語として用いられることが多い。英語圏ではゲームにおけるこの種の映像を、通常のテレビと同等のフレーム数である映像の総称であるfull motion video、もしくは略称のFMVと呼んでいる。
しかし、この意味で用いる場合、スクウェア(現スクウェア・エニックス)発売の『ファイナルファンタジーVII』において初めて実現された「普通に操作ができるムービー画面」なるものも存在するため、その定義はやや曖昧で、「通常より高い画質の、魅せるゲーム画面」といったニュアンスの語として用いられているのが現状である。
ムービーの場面は否が応でも開発陣の映像技術の高低の指標となってしまうため、どの開発社ともムービー専門チームを結成する場合が多い。ゲーム中にムービーを挿入すると、発売時の市況からみて相対的に技術の高いものであればゲーム展開に大きなインパクトを持たせる効果的な表現手段となりうるが、低技術のムービーは概して視覚的に不自然なものであり、なまじ挿入することによりかえって製作の粗雑さを露呈しまっているケースが多い。一般的にはスクウェア(現スクウェア・エニックス)のファイナルファンタジーシリーズがムービーにおいて常に先駆的立場にあったとされ、現在もその技術力は群を抜いていると思われるが、開発技術の向上により各社とも猛烈に追い上げており、今のところはどの社も精緻なムービーを生み出すようになってきている。
ただ、ムービー技術があまりに進歩してしまったため、今後どのような発展を遂げるか未知数であり、展望が期待されるところである。