ヤング率
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ヤング率(Young's modulus、縦弾性係数)は、弾性範囲で応力に対するひずみの値をきめる定数である。単位は応力と同じPa、tf/m2 など。
[ひずみ ε ]= [応力 σ ] / [ヤング率 E ] (フックの法則)より、 E=σ/ε である。
一方向の引っ張りまたは圧縮応力の方向に対するひずみ量の関係から求める。
たとえば、ヤング率が約100GPa(G(ギガ)は109の意味)である銅では、断面積1mm2、長さ1mのワイヤに10kgのオモリをぶら下げると、0.1%のひずみが生じる、すなわち約1mm伸びることなどを推定することに使う値である。
結晶の原子間距離の変化に対する抵抗というモデルがイメージである。原子間の凝集力が弾性的性質をきめる。したがって応力と変形の機構が同じ種類の材質間では、融点と弾性係数の間にはある程度の相関がある。応力がある大きさ(比例限度)をこえると、結晶の不完全な部分が不可逆的にうごくことによって変形することになるので、応力とひずみの関係はリニア(線形)ではなくなり、応力を取り除いてももとの寸法に戻らなくなる。
金属のヤング率は数10 - 数100GPaである。この値は100%のひずみを生じる応力の値であるが、実際の材料は1%も伸びないものが多いので、ヤング率は引張強さの数百倍の大きさである。
弾性的性質は温度によって変化するので解析時には注意が必要である。変化の近似式は
- E = E0 - BT exp(-Tc/T)
ここで E0 は0[K]でのヤング率、B, Tc は材料によって異なる定数である。一例として、1000℃における鋼のヤング率は2/3ぐらいに減少する。
樹脂においては応力ひずみ線図のリニアの領域はほとんど存在しないのでセカント係数などを用いる。
[編集] 主な物質のヤング率
注:以下に載せる値は目安であり、必ずしも保障されるものではない。