ユリア (北斗の拳)
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ユリアは、漫画『北斗の拳』に登場する、架空の人物。
[編集] 声の出演
[編集] 人物
南斗六聖拳「慈母星」の女性。南斗正統血統。ケンシロウの婚約者にして、ラオウ、トキ、シン、ジュウザら、北斗・南斗の多くの漢たちを魅惑させた世紀末の聖母(マリア)。
ユリアは、ケンシロウが北斗神拳正統伝承者に決まり、二人で共に旅立つ日に南斗聖拳のシンに強奪される。シンは、ユリアひとりの愛を得るがために、与えうる全てを与えようと暴力と殺生の限りを尽くし、ついには彼女のためだけの街"サザンクロス"を築き上げた。しかし、自分が生きている限り、シンの略奪と殺戮が続くであろうことに絶望したユリアは、自らの命を絶とうと居城より身を投げた。そこを南斗五車星のメンバーに救われ、シンも彼女を五車星に託す。
その後ユリアの生存は、五車星により秘密裏に隠蔽され、ケンシロウもラオウも彼女が既に亡くなったものと思っていた。だが、二人の最終決戦が間近になった頃、天の平定を願う「南斗六聖拳・最後の将」として再び世に現れ、宿星の慈母の心はすべての人に向けられることになる。南斗六聖拳の一人であるが、南斗聖拳の使い手ではなく、代わって南斗五車星が、南斗正統血統である彼女を守護する拳士として命を賭けて働く。
ケンシロウとラオウは、「南斗最後の将」の正体がユリアであることを知り、南斗の都へと向かうが、南斗五車星の戦士たちの奮戦もむなしく、彼女はケンシロウとの再会を果たすことができず、一時ラオウに奪い取られる。その後、二人の最終決戦でケンシロウが勝利して、ようやく彼女はケンシロウと邂逅することができた。
ケンシロウがラオウを倒した後、乱世の時代は、恐怖による統治から光が甦って平安が訪れたが、北斗の継承を争ったケンシロウとラオウ、そして「南斗最後の将」であるユリアなしでは、北斗・南斗の表裏一体による天の平定は成し遂げられなかった。「北斗の拳」の物語はここで一つの区切りを迎えている。
シンに連れ去られた後、トキと同じ死の病に冒されており、ケンシロウとラオウの最終決戦の直前には、既に余命幾許もなかったが、ラオウがユリアの秘孔を突いて病状を停止させる事で延命される。残る余生を送る安住の地を求めてケンシロウと最期の旅に出るが、行き掛りから元斗皇拳のショウキに提供してもらった隠れ家で、しばらくの間ケンシロウと静かに過ごした後、安らかに天へと帰って行った。
リンとは、直接のからみが省略されており、ケンシロウとの最終決戦に敗れて、自ら「天に帰った」ラオウの亡骸を荼毘に付し、墓に納骨するまでの期間は一緒にいたと推測できるが、彼女がケンシロウを愛しているという事を察していて、息を引き取る際には、リンを幸せにするようにとケンシロウに託す。しかし、それでも自分から心が離れられないケンシロウを、雷を起こし記憶を消してバットとリンの元へ導くなど、死後もケンシロウの事を天から見守り続けていた様である。
「南斗最後の将」となって以後のモデルは聖母マリア。自らの死を悟った時、彼女は、「どうやら天に帰る時が…」と呟く。キリスト教の一派カトリックでは人間の死を「帰天」と表現することがあるが「天に帰る」という言葉は、ラオウも現世を去る際に使っている。
泰山天狼拳、天狼星のリュウガは兄であり、五車星の雲のジュウザとは腹違いの兄妹の間柄に当たる。尚アニメ版で、何故ユリアの髪の色と瞳の色が途中で変わったかは不明である。
リンとバットが結ばれたのち、彼女は、元ショウキの村の墓所にて静かに眠っている。