ラ・フランス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
不正円の果実で果皮部には斑点がある。外観は良くないが大変香りが良く、濃厚な甘みと滑らかな舌触りで、上品な味である。食感はリンゴにも似ている。
1864年に、フランスのクロード・ブラシュ(Claude Blanchet)が発見した品種で、日本へは1903年に農商務省農事試験場園芸試験地(静岡県)へ導入された。日本では盛んに栽培されているが、本国フランスなどヨーロッパ各国では、気候が合わなかったためにほとんど生産されていない。
収穫は実の固いうちに行われる。収獲直後の実は堅く甘味もなくまずい。収穫後に常温で10日から2週間程度追熟されることで初めて生食に適すものとなる。追熟の間、果実に含まれるデンプンが分解されて果糖、ショ糖、ブドウ糖などの糖となることで甘味が、ペクチンのゲル化により舌触りの滑らかさが増す。一段と芳香が強くなり、赤ん坊の頬くらいの柔らかさになったときが食べごろである。冷蔵庫などで冷却することにより、追熟を中断することができるが、一旦食べごろを迎えると一気に熟成が進むので注意が必要である。生っているときに枝に近い部分が褐色を帯び柔らかくなってから1日程度が完熟の目安である。
日本における主な産地は山形県、長野県で、10月上旬〜中旬頃収穫され、11月上旬〜中旬にかけて食べ頃となる。山梨県増穂町では、珍しいラ・フランス狩り観光農園がある。収穫時期は9月下旬~と主産地より早い。