リプレイはずし
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リプレイはずし(リプレイハズシ、リプレイ外しと表記される場合もある)は、パチスロ用語で4号機のビッグボーナス中の打ち方。実態を正確に表す名称としては「JACイン(レギュラーボーナス開始)はずし」のほうがふさわしいが、4号機のほとんどでリプレイ図柄をJACイン図柄に採用していたことから、この呼び名になった。
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[編集] 原理
4号機のビッグボーナスの小役ゲーム中は小役フラグの成立確率が上がっており、その小役をできる限り多く獲得するために、JACイン図柄が揃わないようにわざと取りこぼし、小役ゲームを引き伸ばすことによってビッグボーナスの獲得枚数を増やすことがパチスロ攻略雑誌の攻略ライター(人物については諸説ある)によって発見された。4号機の初期においてリプレイはずしはメーカーの意図しないいわゆる裏技であり、攻略法として認知されていたが、後にメーカーも機種の設計段階からリプレイはずしを織り込むようになり、ドットや液晶画面が搭載されるようになるとリプレイはずしを指示する機種が出るまでに発展した。その意味で、リプレイはずしは攻略雑誌が生み、メーカーによって育てられた打ち方といえる。
リプレイはずしのやり方であるが、順押しではほとんどの機種において100%リプレイを引き込むため、変則押しをすることが必要である(普通は逆押しする)。パチスロの規格上、最大4コマまでしか図柄を引き込む(スベリ)ことしかできないため、リプレイと次のリプレイの間が5コマ以上離れているとリプレイを取りこぼす。また、リプレイとチェリー(左リールだけで確定する小役)などの小役を同時に揃えることもできないため、わざとそのような形になるようにリプレイをテンパイさせてはずすこともある。この場合、1~3コマ程度の目押し能力が要求され、中には複数のリールで1コマ目押し(ビタ押し)を必要とする攻略困難な機種もあった。このようなリール配列の隙を突いた形ではなく、特定の押し方をすると、リール制御が実際にはリプレイを引き込めるにもかかわらず引き込まずに取りこぼす機種もあり、これをリプレイはずしに利用することもある。このような機種はメーカーがリプレイはずしをしやすく設計していることが多く、要求される目押し能力は前期のものよりも緩いか、なかにはまったく目押しを必要とせず、フリー打ちで小役ゲームを消化するものさえある。
リプレイをはずすだけではビッグボーナスの獲得枚数を増やすことはできない。リプレイはずしによって小役ゲームを引き伸ばすことはできるが、その間に成立するJACイン以外の小役を取りこぼしては獲得枚数は増やせず、かえって損をすることもあるからである。特に変則押しをするとリプレイだけでなく、ほかの小役も取りこぼしやすくなるために、順押しではフリー打ちでも取りこぼさない小役でも目押しが必要になることがある。後期の機種ではストップボタンを押す前にあらかじめフラグ告知をすることにより、小役フラグの場合は順押しフリー打ち、JACインフラグのときは逆押しで目押し(あるいはフリー打ち)と押し順を使い分けることによって目押しの頻度を減らすものも現れた。
[編集] ジャグラーシリーズでの例
- 自力でBIGフラグを立てる。
- ビッグボーナスを獲得したら2回目のJACゲームまで通常消化し、3回目のJACゲーム前に中押し(中→右→左)で小役ゲームを消化する。この時、リプレイのテンパイラインによって左リールを押し分ける。
- リプレイが上中段テンパイ時は上段に上チェリー付き7
- リプレイが下段テンパイ時はBAR、ベル、ピエロのBARを上段(上チェリー付き7を枠外に落とす。)
- 残り10Gになったら順押しでJACINを優先する。
- 中押し時のブドウテンパイは、上、下段の場合はテンパイラインにBARを、中段は下チェリー付き7を落とすことで取りこぼしを防ぐ。この方法で素人より10~20枚多く獲得できる。(目押しの苦手な人は、中リール中段にブドウ停止時のみ、中左右で押してもよい。)
- 尚、DDT打法と合わせると設定1でも攻略割数は100%を越える。又、目押しの出来ないスロッターもそれなりの効果はある。
[編集] 歴史
メーカーがリプレイはずしを設計に織り込んだ機種は『クランキーコンドル』(ユニバーサル:現アルゼ)が最初であると考えられている(詳細は不明)。クランキーコンドルは、JACインのフラグが成立しているときに変則押しをすると、必ずリプレイが中段でテンパイする。このとき、左リールのリプレイが6コマ離れているところを狙って(2コマ目押し)リプレイをはずす。クランキーコンドルにはフラグ告知は一切ないため、リプレイはずしをするときは小役のフラグが成立している場合でも変則押しを行う必要がある。このとき、小役を取りこぼさないために最初に押す中リールも2コマ目押しが必要とされた(クランキーコンドルのリプレイはずしの押し順は中→右→左)。クランキーコンドルは小役ゲーム中によく揃う小役の払い出し枚数が10枚および15枚と多く、その小役フラグが成立する確率も高かったため、小役ゲームを引き伸ばすと、リプレイをはずしたことによって減る枚数を加味しても、リプレイをはずさないときよりも50枚以上多く獲得することができたのである。
当初クランキーコンドルにおけるリプレイはずし攻略法は「タバコ2箱分オトクな」攻略法として紹介されたが、以前の3号機時代の強烈な連チャンを経験してきた世代からは「セコイ打法」として敬遠されていた時期があった。しかしよくよく考え直してみると、『タバコ2箱分』というのは当時主流だった7枚交換で計算してもBIG1回でおよそ35枚の差、BIG20回で700枚(7枚交換で1万円)という結構な差が出る事実に多くのスロッターが気付き、次第にリプレイはずし攻略法は広まって行った。
このクランキーコンドル以後数年間に及ぶ「技術介入ブーム」が引き起こされ、パチスロブームの一因となった。中には「技術介入をすると負けない」のではなく「技術介入をしないと勝てない」機種も現れ、打ち手の目押し技術の向上を引き起こし、にわかスロプロが多数出現する原因にもなった。後にパチスロの規格の解釈変更により、ビッグボーナスの平均獲得枚数が500枚を超える大量獲得機が続々現れるようになると、メーカーも「獲得枚数を増やすための手段」としてリプレイはずしをシールや小冊子によって「メーカー推奨の打ち方」としたために、リプレイはずしの技術介入性は薄くなった。
しばらくしてJACインフラグの持ち越しが認められるようになり、『吉宗』のようなビッグボーナス1回でほぼ毎回711枚を獲得できる機種では液晶画面のナビに従うだけでリプレイはずしが自動的に行われるようになり、このような機種ではリプレイはずしの技術介入性はまったく失われた。その一方でリプレイはずしが利かないような設計をするメーカーも現れ、そのような機種では小役ゲーム中の期待値を減らし、小役ゲームを引き伸ばすとかえって損をするようにしてリプレイはずしの効果を下げたり、変則打ちでもリプレイを取りこぼさないようにしてリプレイはずし自体をできないようにする機種もあった。
リプレイはずしが大量獲得の手段の一部となったために5号機では規制され、払い出し枚数によってボーナスゲームを終了させるようになり、リプレイはずしの概念自体が消滅した。