ルナティック・ムーン
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『ルナティック・ムーン』は、藤原祐/著、椋本夏夜/イラストの小説(ライトノベル)。2003年9月-2005年4月、電撃文庫刊。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] ストーリー
[編集] 登場人物
- ルナ=イル [Luna Ill]
- 機械仕掛けの搭「バベル」直下のスラム街出身。父親はトマージ=イル、母親はルナ=ソーシア。第四稀存種。『月』『生命の実』『滴り堕ちる影』。試作単体戦術兵器(トライ・オーバーキラー)。掌に現れる月に似た濃密な瘴気の塊である『凶玉』(まがたま)によって有機物を腐敗させる。特異器官「崩壊器官『憑黄泉』(つくよみ)」。漆黒の髪に同色の目。母親と同じ名前であるルナという名は母の存在を隠すために隠匿され「名無し」と呼ばれていた。トツメに殺されかけたことで稀存種として孵化する。ルルやトマージ、キキトがケモノに殺される中、稀存種という存在を問い、その答えを探すためにエデンに入隊する。
- シオン=エシュ [Sion Ash]
- 単相区出身のウェポン。左腕の肘から下に『魔女の剣』と称される無数の刃を顕わす変異を持つ。その変異によって幼い頃から恐れられ『化け物の子』と恐れられ、その家族もまた蔑まされていた。そして、弟が殺されてしまったことによって母親は自殺、父親はシオンを殺そうとするがその変異で父親を殺してしまう。それが引き金になって集落の人間がシオンを殺そうとするが全て返り討ちにあい全滅する。(その後、その集落の生き残りにティーがいることが分かる)。エデンの中ではケモノを倒すこと強くなること以外は眼中に無く、他のウェポンとも交流を持とうとしなかったため孤立して、その灰色の髪と変異の恐ろしさとから『灰被りの魔女』と蔑称される。
- フィオナ=レスファ [Fiona Respha]
- ルナ=ソーシアを姉のように慕っていた女性。そのせいかルナ=イルに対して包容的。第一稀存種。『天使』『樹の枝』『識る羽根』。試作単体戦略兵器(トライ・メガデス)。特異器官「祝福器官『ガブリエル』『カマエル』『ラファエル』『ザキエル』『アナエル』『カシエル』」。第一から第六まで並行萌芽した黙示形態『セラフ』。広げた翼から放つ羽で対象を縫いとめ動きを封じ、炎を纏った羽では対象を焼き払う。また、翼は滑空にも使える。
- カロマイン=セク [Karomine Sec]
- 白髪と緋の目を持つ男性。第六稀存種であるロイド=オドに愛情とも取れる憎悪を抱く第二稀存種。『悪魔』『樹の根』『染まる翼』。発展型単体戦略兵器(プロ・メガデス)。特異器官「全滅器官『死人』(ファウスト)」。全滅形態『詩人』(ゲエテ)。『自らの血、もしくはそれを混ぜた液体である『血晶』もしくは『血漿』を繰り、攻撃する。
- エンダ=カーラ
- 他の稀存種と違い、子孫を残すことなく誕生から現在までを生き続ける唯一の存在。かつてのウエポン司令部特別参謀。第三稀存種。ロイド=オドに興味を持ち、ともに行動する。ロイド曰く『人形』。『太陽』『知恵の実』『輪還する光』。完全単体(アルファオメガ)。特異器官「『永久器官』」。
- イユ=イエール [Iyu Yale]
- 特別区域にて保護され、その身は諜報部に預けられることになる。その後、任務中にて狂気に目覚める。第五稀存種。『麒麟』『陸の獣』『歪める匣』。最終単体戦略兵器(ラスト・メガデス)。特異器官「救済器官『罪女の夢』(パンドラズ・トイズ)」。『麒麟』『ベヘモト』『創造の獣』。
- ロイド=オド [Roid Odd]
- 青い髪が特徴的な男性。かつてのウエポン特別総轄。以前、想い人に殺されかけた反動で『羽化』し、その反動による行動に絶望、『バベル』に憎悪し、敵対する組織『フルブルー』を設立する。第六稀存種。『蛟』『海の獣』『壊す真円』。発展型単体戦術兵器(プロ・オーバーキラー)。特異器官「消滅器官『睚眦』(がいさい)」。『蛟』『破壊する蛇』『龍の王』『レヴィアタン』。
- リデル=ユングルス
- 第七稀存種。『名称なし』。完全兵器(アルティメット)。特異器官「『混乱器官』」。
- レイン=リィン [Lain Liyn]
- エデンのウェポン管理部副部長。純血であるが、変異種であるウェポンに対しても隔てなく接する。そのため、一部のウェポンには根強い信頼がある。長い金髪に金色の瞳をもつ女性。ウェポンの中で孤立していたシオンに対して特に優しく接しており、慕われている。
- ルナ=ソーシア
- ルナ=イルの母親。エデン始動時、唯一力を目覚めさせていた稀存種であり戦力の中核であった。15年前にエデンから失踪。(本編の)10年前にロイドによって殺害。
- トマージ=イル [Tomage Ill]
- スラム西区のボス。ルナとルルの父親。元ウェポンだが、変異を隠せなくなってしまったためにエデンを辞め、ルナ=ソーシアを追って、エデン下のスラム西区に定住するようになる。子連れにもかかわらず、ずば抜けた強さを誇ることから「子連れのトマージ」と恐れられる。右手に蟹の鋏の変異を持つ。ルナ=ソーシアを亡くしたことを悔やんでおり、ルナ=イルを過保護に扱うあまり厳しくなってしまう。ルナとルルをケモノから守ろうと戦い死亡。
- ルル=イル
- トマージの娘で、ルナ=イルの腹違いの姉にあたる。右足を蟹のような甲羅に覆われている。ケモノによって死亡。
- キキト=ケイト [Kikt Keit]
- 南区にすむ少女、娼婦をしている。15歳。右足を赤黒いヘビの鱗に覆われている。ルナと出会い、友達になる。シュシュに寄生したケモノに喰われる。
- シュシュ=ケイト [Shush Keit]
- キキトの妹。第一位変異種でエデンのウェポン。指に毒牙を表すことができる。シオンに憧れていた。戦闘時、体内にケモノのタマゴを産みつけられケモノに体を乗っ取られてしまう。
- ウィム=クラウト [Wim Cloud]
- ルナ=イルのエデンでの教育係となる青年。戦闘中にルナの目の前で死んでしまう。
- セール=ルウジュ [Sayl Ruwge]
- シュシュと仲の良かったウェポンの女性。シュシュの死の原因をシオンに追求する。エデン内で発生したケモノに襲われ重傷をおってしまう。
- イーノ=ユア
- ウェポンの女性。
- リカ=エニ [Rica Eni]
- セールと仲のよいウェポンの少女。
- メインシー=カウツ
- レインと同期でありながら、権謀術数を駆使した結果、諜報部部長にまで登り詰めた女傑。
- トマズ=ハニバァー
- ジャク=メイ
- ミーシャ=メイ
- ティー=ティカ
- スミタ=リタ
- ミュリエル=タイラー
- キャロル=ユングルス
- エロイーズ=タイラー
- トツメ
- トマージの部下で、ルナ=イルと比較的親しかったが、幼馴染を殺されたためルナを殺そうとする。
- マーク=スコル
- シビル=ベス
- ロイド=オドの想い人。
[編集] 用語
- 稀存種(きぞんしゅ)
- 他に類を見ない高い自己治癒能力、交配によっても混在、変化しない固有遺伝子の恒常性を有する特別な変異種。7種存在する。『御使い』『神と人との混血児』。『孵化』することでその能力を開花させ、『羽化』することによって始めて兵器として完成する。
- 変異種(へんいしゅ)
- 『混乱』以降生まれるようになった、体に変異を持つヒト。『混じりもの』。不完全な形でしか遺伝されない。
- 第一位変異種(だいいちいへんいしゅ)
- 変異を隠すことができる変異種。エデンのウェポンには第一位変異種しかなることができない。変異を隠すことを蔑まれて『擬態』とも呼ばれる。
- 純血(じゅんけつ)
- 変異を持たないヒト。変異種に対してこういわれる。
- 奇性生物(きせいせいぶつ)
- 『混乱』以降に現れた異形の生命体、あらゆる生物の体の器官をもち、それが交じり合っている。その生態については多くが不明。汚れた存在という意味で『ケモノ』と呼ばれる。第一種から第五種といった風に区分けされる。
- 特異器官(とくいきかん)
- 各稀存種に備われている特殊な器官。
- 混乱(こんらん)
- 約240年前に発生した事件。その具体的なことははっきりとしないが、この『混乱』以降、『過学』の知識は失われ。ケモノが発生し、変異種が生まれた。
- 過学(かがく)
- 『混乱』によってその知識は失われたが、その技術は非常に高度で、解明不可能なものをいくつも抱えている。
- バベル
- 金属でできた機械都市として聳え立つ塔。ケモノに対する絶対的な防御手段、監視用有機衛星『カダス』と兵器『火』を持ちその進入を許さない。足下にスラムを抱える。
- 機械都市(きかいとし)
- 世界に数箇所ある過学を用い金属によって作られた都市。防衛機能を備えており、ケモノの危険から逃れられることができる。
- エデン
- 奇性生物殲滅を目的とされ20年ほど前に設立された施設組織。バベルの第13階層に位置する。
- ウェポン
- エデンの擁する対奇性生物用戦闘員。
- 聖域(せいいき)
- 純血のヒトのみが住む集落。
- 隔離地(かくりち)
- 変異種のみが住む集落。
- 揺籠(ゆりかご)
- 過学により生みだされた準光速移動機関。その原理、構造などは『混乱』により不明となってしまっている。ウェポンたちは通常これに乗り目的地へと赴く。
- 金属(きんぞく)
- 金属は大変貴重で通貨として用いられる。ルナやルルが持つ金属の小刀などは大変珍しい。
- 生体金属(せいたいきんぞく)
- 通称『イキガネ』。過学で生み出された色々な機能がある金属。発光金属、放熱金属、発熱金属などがある。高価で取引される。
[編集] 評価
[編集] 作品リスト
- 『ルナティック・ムーン』 ISBN 4840224587
- 『ルナティック・ムーン II』 ISBN 484022546X
- 『ルナティック・ムーン III』 ISBN 4840226873
- 『ルナティック・ムーン IV』 ISBN 4840228450
- 『ルナティック・ムーン V』 ISBN 4840230226