レオン (映画)
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レオン Léon |
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監督 | リュック・ベッソン |
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製作 | パトリス・ルドゥー |
脚本 | リュック・ベッソン |
出演者 | ナタリー・ポートマン ジャン・レノ |
音楽 | エリック・セラ |
撮影 | ティエリー・アルボガスト |
編集 | シルヴィ・ランドラ |
配給 | ヘラルド |
公開 | 1994年9月14日 ![]() 1994年11月18日 ![]() 1995年3月25日 ![]() |
上映時間 | 110分 |
製作国 | フランス・アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
制作費 | FRF 115,000,000 |
allcinema | |
IMDb | |
『レオン』(Léon)とは、1994年に公開されたリュック・ベッソン監督によるアクション映画。フランス・アメリカ合衆国合作。リュック・ベッソンがハリウッドで撮った初めての作品である。
コピーは「凶暴な純愛」。
ベッソンは、初期の作品『ニキータ』で描いたテーマを英語で描いた別バージョン、としている。特に、主人公レオンのキャラクターは『ニキータ』の登場人物「掃除屋」から継承されていて、ベッソン自身レオンは掃除屋の血族であると言及している。
後に監督自らが22分間の未公開シーンを加えた『レオン完全版』が公開されている。
独特の世界観・キャストから、今なお根強いファンがおり、IMDBでも常に高評価を維持している。
[編集] キャスト
- ジャン・レノ(レオン)
- ナタリー・ポートマン(マチルダ)
- ダニー・アイエロ(トニー)
- ゲイリー・オールドマン(ノーマン・スタンスフィールド)
[編集] スタッフ
[編集] ストーリー
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
舞台はニューヨーク。チャイナタウンに程近いイタリアン・レストランで殺し屋のレオン(ジャン・レノ)が元締めであるトニー(ダニー・アイエロ)から仕事の依頼を請けていた。ターゲットは最近トニーのボスであるモリッツォのテリトリーを荒らしている新興ギャングのボスで、毎週火曜日にニューヨークに訪れていた。トニーがレオンに火曜日の予定を聞くと、レオンは火曜日は自由だと答えてコップ一杯の牛乳を飲み干し、自分のアパートへと戻っていった。
火曜日、レオンのターゲットがいつものように部下を引き連れてニューヨークにやって来て、いつものホテルで部屋を取った。ホテルの部屋では少女娼婦が彼を待っており、彼は部下に一時間後だというと人払いさせ、少女娼婦とベッドを共にした。一時間後、事が済んでベッドの上で寛いでいたボスに、一階で警備をしていたトントから無線連絡が入った。客が来た、これから上に向かうとトントが言った後、無線からは耳を劈く音が聞こえて途絶えた。ボスは慌てて裸にバスローブを羽織り、別室で待機していた部下に危険な客が来たと告げた。部下は全員臨戦態勢を取り、一部の部下は慌てて麻薬をアタッシュケースに詰め込んだ。新興ギャングの抵抗空しく部下は全て皆殺しにされ、一人残され切羽詰ったボスが慌てて警察に連絡しようとする。ジェファーソン刑事に電話が繋がるが、その時点で背後から首元にナイフの刃が当てられた。レオンはボスに今すぐ電話を切り、この番号に電話を掛けろと指示をした。電話の相手モリッツォは新興ギャングのボスにもう2度とこの町に戻ってくるなと警告し、レオンには2度とこの町には戻ってこないと誓わせた後で開放しろといって電話は切れた。レオンはボスに誓わせると彼を解放し、ホテルを後にした。
レオンがアパートに戻ると、吹き抜けになっている階段で隣室に家族と共に住む少女マチルダ(ナタリー・ポートマン)が煙草を吸っていた。彼女は後ろを通り過ぎようとしていたレオンにハイと挨拶をし、レオンは振り返った。マチルダの顔にはやけに新しい痣があり、彼女はそれを隠そうと顔を背けた。レオンがどうしたのか、と尋ねると彼女は自転車で転んだだけと主張した。
隣室では激しく言い争う声が聞こえ、マチルダは吹き抜けの階段で煙草を吸って父親と客人との言い争いが終わるのを待っていた。マチルダの父親は麻薬の売人で、麻薬を卸しているボスから100%のコカインがお前に預けたら90%に落ちていた、くすめたのかと詰問されていた。客人は明日の正午までに消えた10%のコカインを探し出せといって部屋を後にし、父親が部屋から出てくるとマチルダは慌てて煙草を放り投げ、代わりに飴を咥えた。だが勿論臭いは誤魔化せず、父親は煙草を吸うなといってマチルダを平手打ちにして部屋の掃除をしろ、と怒鳴りつけた。
翌朝、マチルダは腹違いの姉に、私の時間だからテレビを見せてと頼む。だがダイエット目的のエアロビクス番組を見ていた姉はチャンネルを変えたら殴ると言い放ち相手にはしなかった。起きてきた義母に姉がテレビを見せてくれないと訴えるが義母は相手にせず、やる事が無いなら買い物に行ってきてと言うだけだった。弟が起きてくるとマチルダは彼を優しく抱き締めた。マチルダにとって冷淡な家族の中で弟だけが可愛かった。洗面所に入った義母に父親は今日やばいんだ、仕事休んで家にいろと頼んだ。いつまでもテレビを見せてくれない姉に苛立ったマチルダはリモコンでチャンネルをアニメに変え、姉は怒って逃げ出したマチルダを追いかけた。お姉ちゃんが苛める、と義母と父親に泣きつくと2人は洗面所で情事の真っ最中で、ドアを閉めろと叫ぶだけだった。姉はドアを閉め、マチルダを拳で何度も殴りつけ、チャンネルを奪うとエアロビクスを再開した。その時、両親の部屋で電話が鳴り、父親に怒鳴りつけられて電話に出ると、相手はマチルダが放り込まれた私立校の事務員で、このまま学校の寮に戻らないと納入された学費は全て没収されると告げた。母親を装ったマチルダは事務員にマチルダは死んだと告げて電話を切った。
今日は仕事の無いレオンが映画館で映画『雨に唄えば』を観てアパートに戻ると、マチルダは階段ホールで泣きながら鼻血をたらしていた。レオンはこれを、といってハンカチを差し出し、マチルダはそれを受け取ると、レオンに大人になっても人生は辛いのか、と尋ねる。レオンは辛いと答えた。部屋に戻ろうとするレオンにマチルダはこれから買い物に行くから、レオンがいつも買っている牛乳2パックを買ってこようか、毎日買っているでしょ、と尋ねるとレオンはそうだと答え、満面の笑みを浮かべてマチルダは買い物に出掛けた。その頃、マチルダの父親のボスが部下を引き連れて一家が住むアパートの部屋を訪れる。ボスであるスタンスフィールド(ゲイリー・オールドマン)は興奮剤を噛み砕き、俺がベートーヴェンを演奏してやろうとマシンガンを手に取り、マチルダの父・母・姉そしてマチルダ最愛の4歳の弟まで無残に殺していった。レオンはその様子をくりぬいた玄関ドアのキーホールから注意深く観察し、そして家族が皆殺しにされた頃買い物から戻ってきたマチルダに気付いた。マチルダは何食わぬ顔で自宅前を通り過ぎ、レオンの部屋のドアベルを鳴らした。レオンは躊躇しながらもドアを開けてマチルダを迎え入れた。レオンの部屋の中でマチルダはレオンの仕事道具、銃器を発見してレオンの仕事を悟った。家族に対して憎しみを露にしながらも泣くマチルダに何故泣いているのかとレオンが尋ねると、マチルダはまだたった4歳の弟まで殺されたと訴えた。
翌日、マチルダはレオンに殺し屋にして欲しいと紙に書いて頼むが、レオンは戸惑った。マチルダはレオンが英語を読めない事を悟り、口でクリーナー(殺し屋のスラング)になりたいと頼むと、レオンはいくつかの銃を渡して自分で勝手にやれ、と言い放った。業を煮やしたマチルダは銃に弾を込め、窓から外に向かって乱射した。たちまち窓の外からはけたたましい車のブレーキ音や叫び声が聞こえ、マチルダは空になった銃をレオンの目の前に置いてこれでも私はクリーナーになれないかと凄んだ。レオンは慌ててアパートを引き払い、マチルダと共に別のホテルに移動した。レオンは元締めであるトニーにライフルを頼み、ライフルからマチルダに殺しの技術とマナーや自分のポリシー(女と子供は殺さない等)を教え込んだ。ライフルでセントラルパーク内をジョギングする男をペイント弾で狙撃し、銃の仕組みを覚えさせ、毎日の筋トレを課した。
ある日、マチルダが家族が皆殺しにされたアパートの部屋に戻り、父親が床の板の割れ目に隠していた大金と弟が好きだったぬいぐるみを取りに戻ると、ちょうどそこにスタンスフィールドと今回の皆殺し事件について捜査している捜査官がやってきた。マチルダは彼らの会話からスタンスフィールドのオフィス番号を突き止め、そしてタクシーで尾行してスタンスフィールドは実はDEA(アメリカ連邦麻薬取締り局)の捜査官であった事を知った。マチルダの復讐計画が幕を開けた…。