世界最終戦論
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『世界最終戦論』(せかいさいしゅうせんろん、世界最終戰論)は、陸軍軍人・思想家石原莞爾(いしわら・かんじ)の代表的著書。『最終戦争論』とも呼ばれる。石原はヨーロッパ戦争史の研究と日蓮宗の教義解釈からこれを構想、日米決戦を前提として満蒙の領有を計画した。1940年9月、立命館出版部より初版が発行された。 なお、石原自身は戦後、この思想を捨てている。
[編集] 内容
- 戦争史の大観、時代による戦術形態の変化
- 持久戦争と決戦戦争の概念
- 昭和維新
- 最終戦争としての日米決戦
- 世界新秩序
- 仏教の予言
[編集] 最終戦争と世界新秩序
世界は、ヨーロッパ、ソビエト連邦、アジア、アメリカ合衆国の経済圏に別れ、統一が進む。しかし、ヨーロッパは大国が密集しているため、うまくまとまることができない。ソビエト連邦は全体主義でいかにも強そうに見えるが、ヨシフ・スターリンの死後は内部崩壊する。そうなると、最終的にアジアの盟主として君臨した日本と、アメリカ合衆国の決戦となる。 その決勝戦(最終戦争)に勝った国を中心に世界はまとまる、というもの。
最終戦争勃発の条件として石原は、
- 東亜諸民族の団結、即ち東亜連盟の結成。
- 米国が完全に西洋の中心たる位置を占むること。
- 戦用兵器が飛躍的に発達し、特に飛行機は無着陸にて容易に世界を一周し得ること。
の3つを挙げている。
世界新秩序の予言は、EU(ヨーロッパ連合)の結成やアメリカの経済圏拡大などを以って、一部は的中している、あるいは、「決戦兵器」として発表された予言は、核兵器の発明によって現実のものとなった、とする見解もある。