中華民国司法院
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司法院(しほういん、ピンイン:Sīfă Yùan、英文名称:Judical Yuan)は、中華民国(台湾)の最高司法機関。現在は院長と副院長を含む15名の大法官(Grand Justice)により構成されている。院長は、翁岳生である。なお、2006年4月に城仲模副院長が不倫疑惑により辞任し、現在も副院長は不在である。
最終司法判断を下す機関としては、日本の最高裁判所に相当する最高法院や最高行政法院がある。そのため、司法院は形式上、司法行政機関としての性格が強い。
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[編集] 大法官
大法官は総統が推挙し、立法院が承認する。大法官の任期は8年である。ただし、2003年に任命された8名の大法官(現任院長と辞任した副院長を含む)に限り任期は4年である。再任はされない。
大法官に必要な資格は、以下の通りである。
- 10年以上、最高法院法官を務めた者で、かつ優秀なもの。
- 9年以上、立法委員を務めた者で、かつ特別な貢献を果たしたもの。
- 10年以上、大学の主要な法律科目を担当し、専門著作がある者。
- 国際司法裁判所裁判官の経験者、もしくは公法学や比較法学の権威である者。
- 法律を研究し、豊富な政治経験を持つもの。
しかし、実際には曖昧な規定が多く、実質的な意味がないとの批判も有る。ちなみに、現任大法官にはドイツ留学経験者が多く、アメリカや日本留学経験者がそれに次ぐ。
[編集] 大法官と正副院長
正副院長は当初、大法官ではなかった。しかし、大法官会議に出席していたため、大法官会議の)司法の独立に反するとの指摘がなされていた。ただし、1997年の第4回憲法改正以降、正副院長にも大法官の身分が与えられ、この問題は解決している。[1]
[編集] 大法官の職務
司法院の構成員である大法官の職責は、大法官会議(憲法法廷)における憲法解釈と法解釈の統一、違憲な政党の解散に関する審理、総統・副総統弾劾決議の審査に限定され、訴訟の審判は行わない。また、違憲政党の解散審理は、行われたことがない。
[編集] 大法官会議に対する法解釈の要請
ただし、台湾では上告・上訴の割合が高く、最高法院や最高行政法院の審議案件数が極めて多く、これら法院における法官(裁判官)の在籍数も多い。そのため、台湾では比較的軽微な案件を除き三審制であるが、最終審での判例にばらつきが出る傾向が有る。これらの要素が合わさり、法解釈の統一や下級法院の判決における法解釈の修正を求めて、大法官会議に持ち込まれる案件も非常に多い。また、下級法院が自らの判断で一旦審理を停止し、大法官会議による法解釈を伺う事も出来る。
また、行政院や立法委員(総数の3分の1以上による提案が必要)、かつての国民大会などの国家機関および構成員、地方政府は、裁判を経ずに直接、大法官会議の憲法解釈を要請できる。近年は、与野党の対立が大法官会議に持ち込まれる事も多い。
[編集] 歴代院長
代 | 氏名 | 任期 |
---|---|---|
初代 | 王寵恵 | 1948年6月~ |
第2代 | 謝冠生 | 1958年6月~ |
第3代 | 田炯錦 | 1971年12月~ |
第4代 | 戴炎輝 | 1977年4月~ |
第5代 | 黄少谷 | 1979年7月~ |
第6代 | 林洋港 | 1987年4月~ |
第7代 | 施啓揚 | 1994年9月~ |
第8代 | 翁岳生 | 1999年2月~現在 |
[編集] 下部機関と司法制度
[編集] 司法院の下部機関
司法院の下には、最高法院を頂点とする普通法院(裁判所)の系統と、最高行政法院を頂点とする行政法院(裁判所)の系統がある。さらに、公務員の懲戒を行う裁判機関も設けられている。
- 最高法院:
- 高等法院:台湾高等法院および同分院(台中、台南、高雄、花蓮)と福建高等法院金門分院がある。
- 地方法院:全ての直轄市、県、省轄市に設置されている。一部は一県市に複数ある。
- 少年法院:高雄のみ。通常は地方法院の中に、少年法廷が設けられている。
- 高等法院:台湾高等法院および同分院(台中、台南、高雄、花蓮)と福建高等法院金門分院がある。
- 最高行政法院:2000年7月に行政訴訟が一審制から二審制に改正されたのに伴い、行政法院から改称された。
- 高等行政法院:行政訴訟の増加に対応するため、最高行政法院(旧行政法院)の下部法院として2000年7月、台北、高雄、台中の三院が設置された。
- 公務員懲戒委員会:公務員の懲戒を行う。
- 司法人員研修所:法官(裁判官)や司法職の訓練を行う。
[編集] 検察機構
台湾の検察機構は、形式上、各普通法院に付属して設置されている。検察機構のトップは、最高法院検察署検察総長である(「検察総長」とのみ呼称されることも多い)。ただし、実際には法院から独立して動いている。
- 最高法院検察署:
- 高等法院検察署(高検):台湾高等法院および同分院(台中、台南、高雄、花蓮)と福建高等法院金門分院に設置されている。
- 地方法院検察署(地検):全ての直轄市、県、省轄市に設置されている。一部は一県市に複数ある地方法院に設置されている。
- 高等法院検察署(高検):台湾高等法院および同分院(台中、台南、高雄、花蓮)と福建高等法院金門分院に設置されている。
[編集] 軍事裁判
司法院に属する裁判所のほか、「軍法審検機構」(軍事裁判所と検察署)が行政院国防部の中に設けられている。軍事検察署は各法院に対応する形で、検察署が設けられている。(最高軍事法院には、最高軍事法院検察署。各地方軍事法院や分院には、同検察署が設置されている。)
- 最高軍事法院
- 高等軍事法院
- 高等軍事法院高雄分院
- 北部地方軍事法院:馬祖分庭を含む
- 北部地方軍事法院桃園分院
- 中部地方軍事法院
- 南部地方軍事法院:澎湖および金門分庭を含む
- 東部地方軍事法院
[編集] 建築
司法院の建物は「司法大廈」と呼ばれ台湾の国定史跡に指定されている。現所在地は清代に武廟が置かれており、日本統治時代の1929年に取り壊され裁判所の建設が開始された。工事期間は5年にも及び1934年に完成した建造物には台湾総督府高等法院、台北地方法院、検察局が設置され、当時の台湾における最高司法機関となっていた。中華民国政府の台湾移転後に、司法院、最高法院(既に移転)が設けられ、1977年には4階部分が増築されて4階建てに増築されて現在に至っている。
[編集] 注釈
- ^ 李仁淼「台湾における違憲審査制の新展開」大沢秀介・小山剛編著『東アジアにおけるアメリカ憲法』慶應義塾大学出版会、2006年、129頁
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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