九州芸術工科大学
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九州芸術工科大学(きゅうしゅうげいじゅつこうかだいがく、Kyushu Institute of Design)は、福岡県にかつて存在していた国立大学で、現在の九州大学芸術工学部および九州大学大学院芸術工学府・同研究院の前身である。略称は芸工大。
1968年4月、福岡教育大学福岡分校跡地である福岡市南区大橋に、日本初の芸術工学 (design) を本格的に研究教育する国立の単科大学として設立された。この場所は1926年~1949年まで、現在の福岡県立筑紫丘高等学校の前身である筑紫中学校の跡地であった。「芸術工学部」の名称も日本初であり、世界でもほとんど例を見ないものだった。
当初、環境設計学科、工業設計学科、画像設計学科、音響設計学科の四学科であったが、1997年に芸術情報設計学科が加わった。ユニークな学部を持つ大学だったので、九州という立地にもかかわらず全国から学生が集まっている。一方、地元の人はその存在を知らない人が多く、大学名を言っても専門学校等と一緒にされがちである。
2003年10月、九州大学と統合し、芸術工学部は九州大学芸術工学部に、大学院芸術工学研究科は九州大学大学院芸術工学府・同研究院となった。所在地は変わらないがキャンパスの名称は九州大学大橋地区である。
芸工大の業務は九大に引き継がれ合併後も学生は芸工大生の身分のまま授業を受けていた。しかし2004年度以降施行される「国立大学法人法」により、国立大学は法人化され、一法人が二つ以上の大学を持つことは許されなくなった。そのため芸工大が法律上消滅し、芸工大生と名乗っていた在学生の学籍問題が表面化した。協議された結果、「九州芸術工科大学」自体は法律上なくなるものの、2001年度以降に九州芸術工科大学に入学した学生は、そのまま九州芸術工科大学の学生である事を名乗ることとなった。文部科学省は九大卒と芸工大卒のどちらを用いてもよいという見解をとっているが、該当学生が入学した当時施行されていた「国立学校設置法」に配慮した結論だと考えられる。卒業証明書や、公的文書も九大総長の名において、「九州芸術工科大学卒業」が保証されているが、実体のない大学に在学して学会活動や就職活動をし、かつ卒業するという煩雑な仕組みに、学生は戸惑っている。
[編集] 沿革
- 1963年 国立九州芸術大学設置期成会創立
- 1967年 九州芸術工科大学創設準備室設置
- 1968年 九州芸術工科大学開設
- 1972年 芸術工学専攻科設置
- 1977年 芸術工学専攻科廃止、九州芸術工科大学大学院芸術工学研究科設置
- 1993年 九州芸術工科大学大学院芸術工学研究科(博士課程)設置
- 2001年 生活環境専攻及び情報伝達専攻の2専攻廃止、芸術工学専攻設置
- 2003年 九州大学と統合、九州大学大学院芸術工学研究院・大学院芸術工学府・芸術工学部となる
[編集] 関連項目
- 九州芸術工科大学フィルハーモニー管弦楽団
- 九州大学の人物一覧 - 九州芸術工科大学の人物もこの項目に記載
[編集] 外部リンク
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