二項関係
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数学における二項関係(binary relation または dyadic relation)とは、素朴には2つの数学的対象の間の関係のこと。
数学においては、2つの数学的対象の間にある種の関係が成立する、成立しないという議論が多用される。例えば「数として等しい」という関係や合同関係、順序関係などがそうである。
限定された範囲内では、数学で言うところの関係を日常の言葉としての「関係」の延長として捉え、素朴な意味でそれが「成立する」「成立しない」と議論することもできる。しかし、厳密には次のように定義される。
- ある集合を A とする。 "A×A の部分集合" を関係という。この関係を R とする。(ここで R⊂A×A)
- ある対 <x,y>∈R のとき関係を xRy とかく。そうでないとき ¬ (xRy) と書く。
任意の関係が、皆等しく考察の対象となるわけではない。通常は、何らかの「良い性質」を満たすような一部の限られた関係を扱うことが多い。よく使われる「良い性質」としては、次のようなものがある。
- [反射律] ∀x∈A (xRx)
- [対称律] ∀x,y∈A (xRy ⇒ yRx)
- [推移律] ∀x,y,z∈A (xRy ∧ yRz ⇒ xRz)
- [反対称律、非対称律] ∀x,y∈A (xRy ∧ yRx ⇒ x = y)
- [完全律] ∀x,y∈A (xRy ∨ yRx)