介錯
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介錯(かいしゃく)は切腹するに際し、腹を切る時の痛みを軽減するために対象者の首を刀で刎ねること。江戸時代中期以降になると切腹自体が簡略・儀礼化し、いわゆる「扇子腹」の形式で行われるようになり、切腹人が小刀・脇差に見立てた扇子に手を伸ばそうとした瞬間に介錯することがほとんどであった。首を刀で斬り落とすのには首の骨の関節を切ること、身分地域により皮を残す切り落とすなどが作法が異なっていた。三島由紀夫を介錯したものの2度斬り損ねてしかも刀を曲げてしまった森田必勝などの例もある通り、剣術の腕の未熟な者は手許を誤って何度も斬り損ねたり、刀を損傷してしまうことも多々あった。斬り損ねや刀を損じる事は非常な恥とされたため、介錯人は特に剣の腕の立つ者が厳選された。
介錯には切腹に限らず世話をするという広い意味もある。舞台芸能では世話をすることを介錯と称する。例えば、文楽などの古典芸能では小道具の受け渡しを介錯と呼ぶ。現代の演劇では、幕の開閉や役者の動作の補助などを介錯と呼ぶ。照明などの角度を変更するための介錯棒という道具もある。