公布
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公布(こうふ)とは、国民または住民が法令の内容を知りうる状態にすることをいう。
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[編集] 日本の場合
日本においては、現在、法令の公布の方法について定めた一般的な法令は存在せず、慣例により官報に掲載する方法で行われる。憲法改正、法律、政令、条約の公布は天皇の国事行為として行われる(日本国憲法第7条第1号)。
[編集] 歴史
官報に掲載して公布する方法については、もともと公文式(明治19年勅令第1号)という勅令の規定中に存在していたが、それに代わり公式令(明治40年勅令第6号)が制定され、これにも官報に掲載する方法によることが規定されていた。
ところが、第二次世界大戦後、内閣官制の廃止等に関する政令(昭和22年政令第4号)により公式令は廃止されたにもかかわらず、これに代わる法令は制定されなかった。その後も官報への法令の掲載が続けられたが、根拠法令がないため、どのような状態になれば法令が公布されたと見ることができるのか(官報以外の手段で法令の内容を知りうる状態になった場合も、公布があったと言えるか)が問題となる。
この点については、判例上、公式令が廃止された後も法令の公布は官報をもって行われ(最大判昭和32年12月28日刑集11巻14号3461号)、公布の時期については、一般の希望者が法令の掲載された官報を閲覧・購読しようと思えばできた最初の時点である(最大判昭和33年10月15日刑集12巻14号3313頁)とされている。
なお、官報及び法令全書に関する内閣府令(昭和24年総理府・大蔵省令第1号)第1条は、官報には憲法改正・法律・政令などを掲載する旨規定しているが、公布の方法について定めた規定ではない。ただし、最高裁判所規則については、裁判所公文方式規則(昭和22年最高裁判所規則第1号)第2条が官報により公布する旨規定している。
[編集] 公布方法
日本では主に政府や公の機関紙に掲載することによって行う場合と特定の掲示板に掲載することによって行う場合がある。後者は中小規模の地方自治体の命令に多い。
[編集] 期間
- 法律は、奏上の日から30日以内に公布しなければならない(国会法第66条)。この「30日」は国会法第133条の規定により、奏上の当日から起算される。
- 条例は、送付を受けた日から20日以内に公布しなければならない(地方自治法第16条第2項)。