条約
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条約(じょうやく)とは、国際法上で国家間(国際連合等の国際機関も締結主体となり得る)で結ばれる成文法のことである。日本国においては、国家が同意しているものは、公布され、日本国内では法律より優先する(憲法第98条2項による。ただし憲法には劣る)。
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[編集] 概要
国家間などで結ばれる個別の成文法には、狭義の条約(treaty、convention、例:生物多様性条約 )以外に、憲章(charter、例:国際連合憲章)、協定(agreement、例:WTO設立協定)、議定書(protocol、例:京都議定書)等の様々な名称を持つものがある。これらは法的拘束力において相違はないが、慣習によって使い分けられているもので、例えば、議定書は一般に既存の条約を補完する条約に用いられる(例:気候変動枠組条約に対する京都議定書)。
国家が条約に拘束されることへの同意を表明する方法としては、署名、批准、加入、受諾、承認等があり、これらは締結と総称される。締結の具体的方法は、各条約に規定されており、複数の方法が認められる場合もあれば、特定の方法が指定されていることもある。複数の方法が認められる場合、日本は、批准、受諾または加入によって締結することが多く、この場合、条約は、(1) 署名(批准・受諾の場合)、(2) 国会による承認、(3) 批准書・受諾書・加入書の交換・寄託などの手順を経て効力を発生する。
条約に関する国際法としては、ウィーン条約法条約がある。
[編集] 条約に関する用語
- 署名(しょめい signature)
- 調印ともいう。条約における署名には2種類の意味がある。
- 1つめは条約の内容が確定したときに、全権を委任された国家の代表者(通常は代表団の首席代表)が条約の内容を公式に確認した証拠として記名することを指す。条約の内容は署名によって確定し、以後、正式な手続による場合以外は内容を修正することはできない。
- 2つめは、国家が条約を締結する際の手続きの一環として行われ、国家が条約に拘束される意思を表明するものである。多国間条約は、通常、作成された後の一定期間、作成された地、または、関連国際機関等において署名のために開放される。条約を締結するための手続としては、署名、批准、加入、受諾、承認等がある。このうち、署名は文字通り署名のみによって条約を締結するものであるが、現在、主要な条約においてこの方法が取られることはほとんどない。また、批准及び受諾は、署名を行うことにより国家が将来的に条約に拘束される意思を表明した後に、国会による承認などの所要の国内手続き等を経て条約を締結する手続である。日本の場合、署名を行う際には、事前に閣議決定が必要なため、署名を行うのは重要な条約に限られる傾向がある。
- 批准(ひじゅん ratification)
- 批准は、署名をした条約の内容について国家が最終確認を行い同意を与えることを指す。署名の後に、国会あるいは議会の承認を得る等の所定の国内手続きにより条約に同意することの確認を行い、批准書を作成する。批准書の承認は天皇の国事行為とされている。2国間の条約の場合は、相手国と批准書を交換して条約が発効する。また、多国間条約の場合は会議開催地国の政府あるいは国際機関に批准書を寄託することで効力が発生する。署名した条約を国家が批准するかどうかは、信義上の問題はあるものの、法的には自由である。署名した条約であっても、当事国の議会が否決することもある。条約を締結する手続としては、批准のほかに、受諾、承認、加入等があり、どのような手続により締結することができるかは条約文書中に規定されているが、政治的に重要な条約では、批准によらなければならないとしているものが多い(例:包括的核実験禁止条約)。このような条約を批准条約という。また、複数の締約手続が定められている場合であっても、政治的に重要な条約については、締結の手続として批准を選択することが多い。
- 加入(かにゅう accession)
- 加入は、条約に署名をしていない場合に、条約の規定に拘束される意思があることを正式に宣言する行為。具体的には、国会あるいは議会の承認を得る等の所定の国内手続きにより条約に同意することの確認を行い、加入書を作成し、会議開催地国の政府あるいは国際機関に加入書を寄託することで確定される。日本の場合、手続の容易性から、批准よりも加入の手続きを踏むことにより、条約に拘束される意思を表明する場合が多い。また、署名のために開放される期間が終了した後に条約を締結する場合には、条約に署名することはできないので、必然的に批准等ではなく加入等の手続きを取ることになる。
- 受諾(じゅだく acceptance)
- 「条約の受諾」参照。
- 受諾は基本的に批准に近い手続であるが、日本の場合、批准書には天皇の認証が必要とされるのに対して、受諾書の作成の場合は不要である点で相違する。[1]このため、近年は重要な条約を締結する際にも、批准に代えて受諾の手続きが取られることが多い(例:京都議定書)。
- 留保(りゅうほ reservation)及び解釈宣言(かいしゃくせんげん declaration)
- 留保は、条約の締結にあたって、一部の条文の規定に拘束されない意思を表明する行為であり、解釈宣言は、条約の締結にあたって、条約の特定の条文についてのその国の解釈を対外的に明らかにする宣言である。[2]留保や解釈宣言を認めることは、条約の運用の柔軟性を高め、多くの国の締結を促す効果があるが、その反面で条約本来の意義を減じることにもなりかねず、留保や解釈宣言を行った国に対して内外から批判が寄せられることがある。日本が、留保及び解釈宣言を行っている例としては、国際人権規約や児童の権利に関する条約がある。
- 多国間条約の発効
- 多国間で結ばれる条約の場合、条約が発効される条件として、批准書・加入書等を寄託した国が一定数に達した場合等の所定の条件を満たしたときに初めて締約国に対して効力を発揮するのが通例である。条約発効の条件は条約文書の中に記載されている。
- 条約の発効条件によっては、各国の批准・加入等の進行状況や政治をとりまく状況の変化により条約の署名(調印)から発効までに数年から十数年を要するものもある。近年のこのような例としては、包括的核実験禁止条約や京都議定書などがある。包括的核実験禁止条約の例では、1996年に国連総会で採択されたが、2004年時点では条件を満たしておらず条約は発効していない。
- 条約の発効後に条約を締結した国に対しての効力の発生についても、それぞれの条約で定められており、通常、批准書等の寄託と同時に効力を発生するか、寄託から一定期間経過後に効力を発生するとしているものが多い。