処方せん医薬品
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処方せん医薬品(しょほうせんいやくひん)とは、薬局開設者または医薬品の販売業者が、医師等からの処方箋交付を受けた者以外に対しては、正当な理由なく販売または授与してはならない医薬品をいう(薬事法第49条第1項参照)。
2005年4月に、従来の要指示医薬品を改称して処方せん医薬品とするとともに、同年3月以前の要指示医薬品と比較して、その対象範囲が拡大された。処方せん医薬品への改称(薬事法第49条第1項改正)は、医薬品の適正使用を一層徹底するとともに、口頭指示等、医師等にによる指示が実際になされたのであるか、必ずしも明瞭ではない医薬品の販売を抑える目的で実施された。いかなる医薬品が処方せん医薬品に該当する医薬品であるかについては、平成17年厚生労働省告示第24号を参照されたい。
なお、処方箋等を介して医師等の医療従事者から販売ないし授与されることが企図されている医薬品(これを医療用医薬品という。医療用医薬品の殆どは、薬価基準に収載されている。)の全てが、処方せん医薬品であるわけではない点に注意されたい。処方せん医薬品には、薬理作用が強い薬剤や、発売後期間を多く経ていない新薬、医療従事者でなければ取り扱うことが難しい薬剤などが多く指定されており、経口投与のビタミン剤や漢方薬などは、医療現場で頻要されているにもかかわらず、処方せん医薬品の指定がなされているものは見られない。もっとも、法律上は可能であっても「処方箋医薬品に指定されていない医療用医薬品」を処方箋を介さずに薬局(薬剤師)が患者に売るケースは一部の例外(漢方薬局等)を除いてほとんどない。また、処方箋を介さないでの販売は、一般用医薬品(OTC)の販売と同じく医療保険は適用されないため100%自己負担となる。
2006年6月、神奈川県、静岡県を中心に展開している大手チェーンドラッグストアが、処方せん医薬品である喘息治療薬「ネオフィリン錠」を処方せんなしで販売し、神奈川県内の医療機関で、同剤による急性中毒が疑われる事例が発生。これを端緒として、全国的に処方せん医薬品の不正販売の問題が表面化した。
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