加入
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- 加入(かにゅう)とは、組織、団体、または、枠組などに参加し、その一員となることをいう。
- 加入(かにゅう, accede)とは、条約について、その署名期限が過ぎたのちに批准することである。本項目において記述する。
[編集] 概要
- 条約には常に署名の期限が設けられており、その期限中に署名を果たした当該国政府は、署名国として国連の条約局(Treaties Division)に登録され、その後批准手続きを経ることで、条約への加盟が果たされたとみなされる。但し、この期限中になんらかの理由で署名しなかった、あるいはできなかった政府については、その期限が過ぎた時点で、いくら批准に必要な手続きを経ても条約法上は「加盟」ではなく、「加入」することになる。
- この規定は条約法に関するウィーン条約の第15条に記されており、条約の交渉過程に参加したか否かに関わらず、署名により条約への同意を示さなかった当該国政府について、以下の条件が揃った場合に適用される(以下、条文から引用)。
- 当該国が加入により同意を表明することができることを条約が定めている場合
- 当該国が加入により同意を表明することができることを交渉国が合意したことが他の方法により認められる場合
- 当該国が加入により同意を表明することができることをすべての当事国が後に合意した場合
[編集] 二国間と多国間
- 二国間の条約の場合、政府代表が署名を行った時点で効力を発する行政協定(Executive Agreement)あるいは簡易協定と、議会による批准の承認を受けて初めて発効の手順(批准書の寄託)を踏むことのできる通常協定(Conventional Agreement)がある。いずれの場合においても、二国間の協定である場合は協定に「加盟」あるいは「加入」したという表現は用いず、両当事国政府が「締結」したか否かという位置づけになる。すなわち、行政協定の場合、政府代表間で相互に署名を行い、批准書を交わすことで当該協定を締結したことになるが、通常協定の場合は、相互の政府代表者による署名後に、議会による批准の承認を得るまで当該協定は発効しないことになる。
- たとえば日本の場合、日米安全保障条約(安保条約)は議会承認が必要な「通常協定」にあたり、その後に閣議決定により承諾・締結された日米防衛協力のための指針(日米ガイドライン)は「行政協定」の部類となる。これらの二国間協定は、いずれも加盟・加入の対象とならない。
- 多国間の条約の場合、常に 「通常協定」に当たるため、政府代表間及び閣議決定による批准書の交換という手続きはなくなり、かわりに国連の条約局や、地域間条約などを管理・運営する事務局などが、議会決議を経て承認された批准書の寄託を受ける仲介機関の役割を担う。
- 近年(1998年)国連の外交会議で採択された国際刑事裁判所設立条約(ローマ規程)の場合、2000年の12月31日が署名期限だったが、この期限を過ぎて署名・批准を行いたい政府は、「加入」という手段を執らざるを得ず、現加盟国として記録に残らなくなる。ローマ規程の場合は、アメリカが滑り込みで期限当日に署名を果たし、署名国の仲間入りを果たしたが、2002年の5月にはこれを撤回するという国際条約慣習上例のない行為に及んでいる。
- 日本はこのローマ規程に署名しておらず、署名期限までに署名を果たさなかったため、政府は現在「加入」手続きを進めるべく同規程の批准法及び関連法案を平成19年度(2007年度)の通常国会で上程する予定である。