勾配
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勾配(こうばい、gradient)とは、
ベクトル解析における勾配(こうばい、グラディエント、グラジエント、gradient)とは、スカラー場に対して定義され、場の各方向への変化率を記述する偏微分ベクトル場(勾配場)のことである。スカラー場からその勾配場を与えるベクトル値微分作用素そのものを指すこともある。
[編集] 定義

このスカラー場を微分すると、ベクトル場である「勾配」が得られる。この勾配を図示したものが図中の矢印である。勾配は物理学の分野で用いられることが多い。物理学ではスカラー場として何らかのポテンシャルを取ることが多く、このポテンシャルを微分すると、各点において作用する力の向きと、大きさ、を表したベクトル場が得られる。
スカラー量 ψ が、どの二つも互いに直交する単位ベクトルの組 {e1, e2, ..., en} を基底とする n 次元直交座標系の、適当な領域の各点で定義される関数 ψ = ψ(x1, x2, ..., xn) である時、次のベクトル場
を ψ の勾配と言い、
または
と表現する。∇ についてはナブラも参照。また特に、三次元のときの演算子、
を、ハミルトンの演算子と言う。ここで、i, j, k は、それぞれ x, y, z 方向の単位ベクトルである。
スカラー場 ψの全微分 dψ は
となる。極座標などの一般の座標系においては、微小変位ベクトル dxとの内積が全微分となるように定義される。
[編集] スカラーポテンシャル
ベクトル場 F について、スカラー場 ψ との間に次のような関係があるとき、ψ を場 F のスカラーポテンシャルと言う。
ただし、次の関係
を以って、ψ を F のスカラーポテンシャルと言う場合もある。
また、スカラーポテンシャル ψ をもつベクトル場 F に対して、