協力ゲーム
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協力ゲーム(きょうりょくゲーム)とは、複数のプレイヤーによる提携行動が可能であるとされた場合のゲームである。協力ゲームにおける提携行動は、提携をする各プレーヤーの利得を増加される場合に行われるとされている。
提携行動を行うためには、事前の交渉と互いに拘束力のある合意が必要であると考えられている。この考え方にしたがって、協力ゲームを交渉を行う非協力ゲームから説明しようという研究計画をナッシュプログラムという。
[編集] 企業提携の協力ゲーム
例として、複数企業 A, B, C の共同事業を考えよう。それぞれの企業の利益を、[v(A) = 3, v(B) = 6, v(C) = 5, v(AB) = 10, v(AC) = 10, v(BC) = 12, v(ABC) = 18] とする。ここで、例えば v(AB) とは企業 A, B が協力したときの利益を示している。
ここで、互いに交わらない任意の2つの提携 S, T について、v(S∪T) ≥ v(S) + v(T) が成立することを優加法的であるという。上の例では、優加法性が常に成立しているといえる。例えば、v(ABC) = 18 ≥ v(AB) + v(C) = 15 である。優加法的である場合、提携したほうが全体の利得は大きくなる。しかし、個々の企業にとって提携するかどうかは利得の分配によっても変わる。
3社が共同したときの企業 A, B, C の利得をそれぞれ (xA, xB, xC) とする。例として、利得が xA = 4, xB = 4, xC = 10 の場合を考えてみよう。
この場合、xA + xB = 8 < v(AB) = 10 となるので、企業 A, B は2社だけで提携し、利得 (xA = 5, xB = 5) を受け取ったほうが有利である。そのため、この条件では企業 A, B は C を含んだ3社の提携を拒否するであろう。このような状態のことを、提携 (AB) に関して、配分 (xA = 5, xB = 5) は配分 (xA = 4, xB = 4, xC = 10) を支配するという。
他方、配分 (xA = 5, xB = 7, xC = 6) の場合、いずれの2社の提携によっても、その提携に参加したすべての企業の利得を増加させることができない。このような状態をコアという。コアの概念は協力ゲームにおいて重要である。
ゲーム理論のトピックス | |
定義 | 協力ゲーム - 非協力ゲーム |
均衡 | ナッシュ均衡 - 部分ゲーム完全均衡 - ベイジアン・ナッシュ均衡 - 逐次均衡 - 完全均衡 - 合理化可能性 - 進化的に安定な戦略 - パレート最適- 戦略的補完性 |
ゲームのクラス | 標準型ゲーム - 展開型ゲーム - 提携型ゲーム - 完全情報ゲーム - 不完全情報 - 繰り返しゲーム - ゼロ和 - 非ゼロ和 - 二人零和有限確定完全情報ゲーム |
ゲーム | 囚人のジレンマ - チキンゲーム - スタグハントゲーム |
理論 | ミニマックス法 - フォーク定理 - コアの極限定理 |
関連項目 | 数学 - 経済学 - 進化論 - 集団遺伝学 - オペレーションズリサーチ - 社会生物学- 環境社会学 |