南蛮
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南蛮(なんばん)とは、もともとは中原の都市文明圏の者が南方の異文化圏の民を呼んだ呼称。中華思想の強まりとともに、侮蔑的な蔑称の色合いが強くなった。ここから転じて、中世・近世の日本では東南アジア地域を指す意味で用いられるようになった。さらに転じて、インドから東南アジア一帯の港湾都市や島嶼域の貿易拠点の一部に植民地を得て交易圏を日本にまで伸ばした、ポルトガル、スペインといったイベリア半島諸国をも南蛮と称する様になり、これら南欧諸国から渡来した文物も南蛮と呼ぶようになった。また、異国風で物珍しいものを指す用語としても使われる。
現在でも料理関連の言葉に多用されており、なかでも唐辛子の別名(南蛮辛子)として用いられる事が多い。カレー南蛮や鴨南蛮などでは、南蛮はネギのことを指している。この用法に関しては「大阪の難波(なんば)がかつてネギの産地だったことから転じた」とする説が有力であり、本来は鴨難波やカレー難波であったが南蛮漬け等と混同して南蛮と記されるようになったものと考えられている。
日本書紀の時代には朝鮮半島南部の未開地や薩摩の西の五色島、薩摩七島、琉球も南蛮と称している。