単段式宇宙往還機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
単段式宇宙往還機(SSTO: single-stage-to-orbit、"一段で軌道まで"の意味)とは、燃料や推進剤のみを消費し、エンジンや燃料タンクなどの機材を切り離さずに軌道に到達できる宇宙船。必ずしも再使用できるものを指すわけではないが、通常は単段式の再使用型宇宙往還機の意味で用いられる。
SSTOでは、多段式ロケットのような切り離し機構などが不要となり構造を簡素化でき、また1段目の再使用のみを考慮すればよいことから、再使用型宇宙往還機の形状として望ましいと言われている。しかし、ロケットエンジンによる設計ではツィオルコフスキーの公式により機体の大幅な軽量化が避けられないこと、さらにスペースプレーン等の他の手段は開発が難航していること、などから、地球上でのSSTOは2006年現在実現していない。軌道への打ち上げには、多段式の使い捨て型ロケットや多段式で一部再利用のスペースシャトルが用いられている。DC-XやX-33、ロトン等の数隻のSSTOが研究・設計されたが、いずれも軌道には到達していない。
なお、月でのSSTOはアポロ計画で実現されている。月の低重力ならば、SSTOは難しいことではない。