国民主権
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国民主権(こくみんしゅけん、主権在民、英:popular sovereignty)とは、国民が政治権力の源であり、政府は国民の意思により設立され運営される機関であるとする思想。一般には国民が代表者を通じて間接に、あるいは国民投票などを通じて直接に、国家の最終的な意思決定をおこなう権力を有すること、または全国民が国家権力を究極的に根拠づけ正当化することを指す。ただし国民の意思を代表して統治すると標榜する独裁者も形式上国民主権を謳っているように、必ずしも民主制を伴うとは限らない。
日本国憲法は、平和主義、基本的人権の尊重とともに、国民主権を三大原則の一つとしている。この憲法における国民主権は、個人主義と人権思想の原理に立脚する、と言われている。
国民主権のもとでは、主権は国民に由来し、国民は選挙を通じて代表機関である議会、もしくは国民投票などを通じて主権を行使する。
[編集] 民主党の「国家主権移譲・共有」
日本の野党民主党は、憲法提言中間報告の中で国家主権の移譲や主権の共有を掲げている。アジア諸国の人々に日本の国家主権の一部を移譲したり、アジア諸国の人々と日本の国家主権を共有しようというものである。
これはEUなどのグローバルガバナンス思想などを基にした考え方であり、単一の国家では対応しきれない諸問題(平和・開発・環境・人権など)に周辺国と共同で取り組むことを意味するもので、国家主権の放棄を意味するものではない。しかしアジア諸国の歴史的経緯などから、欧米の思想をそのまま取り入れることは困難であるとして、議論が分かれている。公明党などが掲げる「地球民族主義(地球市民主義)」なども同様の概念であろう。