独裁者
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独裁者(どくさいしゃ)とは、国政を一人で操ることができる人物である。
[編集] 概説
近代に入って、法律上選ばれた形になっているが、現実には一人の人物に権力が集中し長期間国政を操っている者が独裁者と呼ばれる。多数決の原則によるとされる民主主義であるが、同時に少数意見の尊重も欠かせない。ゆえに冗長かつ非効率なものにならざるを得ない。多数意見に従っての決定を少数意見を無視して迅速に実行に移す独裁制は、それに比べ非常に合理的なシステムに見えることもある。ただし少数意見を持つ者に対しての人権侵害、そしてチェック機能が働かない事によって次第に多数意見と独裁者の行動が乖離していく場合があり、常に暴政に変貌する危険を秘めている。
独裁者が暴政を行った場合(この場合が殆どであるが)、その国は非常に不安定となる。独裁者に対して自由な物言いが出来なくなることが一番の理由である。またそうなった場合、その国全体が人の命の危険に晒される。それは独裁者も例外ではない。独裁国家の場合、独裁者本人(つまりその国のNo.1の人間)は常に政敵からの暗殺の危険に怯えなくてはならない。独裁者に次ぐ人間(No.2やNo.3の人間以下政権中枢の人間)は常に独裁者からの粛清の危険に晒される。そして一般国民は、常に密告の奨励にて、いつ自分が拘束されたり生命の危険に遭うか分からないからである。
独裁者は一般的に民族や国家を自分と同一視させる。そして自分に反対する者を民族、国家の裏切り者として弾圧する傾向にある。また、国民の不満を逸らすためにも意図的に民族、思想的に少数派を弾圧することも多い。そのように独裁者によって引き起こされた悲劇は、粛清、民族浄化など枚挙に暇が無い。イギリスの政治家ウィンストン・チャーチルは独裁制への魅力を戒め、次のように述べている。「民主主義は最悪の政治体制といえる。これまで試みられてきた、民主主義以外の全ての政治体制を除いた場合だが。」
しかし、独裁者が有能な場合は民主制よりも目的を達成する効率が良い。実際にトルコ共和国の初代大統領ケマル・アタテュルクの様に、独裁者であることの利点を生かして革命・改革を成功させた例もあるので、一概に独裁者全てを悪と決め付けることは出来ない。
前述したように、多数意見を反映させた政策を迅速に実行していく上で、独裁制は非常に効率が良い。問題はその事による少数意見の無視が、少数意見を持つものへの人権侵害につながらないかという事と、独裁者自身が次第に多数意見と乖離して行く事の危険である。この両者を排除できれば、独裁政治は善政となる。ただしあくまでそれは独裁者個人の資質という、非常に曖昧なものに頼らざるを得ない。システムとしての独裁制には、独裁者の暴走へのチェック機能が存在しないことが問題点となる。
英語で独裁者のことを Dictator と呼ぶが、元は共和政ローマの官職の一つ、独裁官(どくさいかん、dictator、ディクタートル)のことを指した。独裁官は国家の非常事態に任命され、6ヶ月間に限り、国政を一人で操ることができた。 紀元前44年、ガイウス・ユリウス・カエサルは自らを終身独裁官に任命したことにより、共和政は解体し、一人支配が常となる帝国に似た元首政が誕生する礎となった。
独裁者と専制君主の違いは諸説あるが、独裁者は選挙や委任などで選出された人物であり、専制君主は世襲や軍事力で地位についた人物であるという分け方がある。ただし独裁者の中には、明らかに世襲や軍事力で地位についた、実質上の専制君主と言える者も存在する。ただしそれら独裁者は、不正選挙、あるいは議会の議決を暴力で強制するなど、多数意見を反映しているという偽装を行っているケースが多い。
[編集] 集団による独裁
特定個人が国政を握るのではなく、特定集団が国政を握る場合がある。詳細は独裁政治を参照の事。
[編集] 関連項目
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