地獄に堕ちた勇者ども
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地獄に堕ちた勇者ども(原題:Caduta degli,dei,La、英語表記:The Damned)は、イタリア人の映画監督ルキノ・ビスコンティが、1930年代ドイツにおける鉄鋼一族の凋落を描いた映画作品。
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[編集] 概要
- 製作国:スイス・イタリア・西ドイツ合作
- 時間:157分
- 監督:ルキノ・ビスコンティ
[編集] 配役
[編集] エッセンベック製鉄
- フリードリヒ・ブリンクマン(平民出身の重役):ダーク・ボガード
[編集] エッセンベック男爵家
- ソフィー(ヨアヒム男爵の息子の未亡人):イングリッド・チューリン
- マルチン(ソフィーの息子):ヘルムート・バーガー
- ギュンター(コンスタンチンの息子):ルノー・ベルレー
- コンスタンチン(ヨアヒム男爵の息子、突撃隊員):ラインハルト・コルデホフ
- ヨアヒム男爵(エッセンベック家当主):アルブレヒト・シェーンハルス
- ヘルベルト・タルマン(製鉄会社の重役):ウンベルト・オルシーニ
- エリザベート・タルマン(ヘルベルトの妻、男爵の姪の娘):シャーロット・ランプリング
[編集] 親衛隊
- アッシェンバッハ(親衛隊高級中隊指揮官):ヘルムート・グリーム
[編集] あらすじ
1933年2月のドイツ。プロイセン貴族のエッセンベック男爵家では、勢力争いの不穏な空気が漂っていた。当主ヨアヒムは、1月に発足したヒトラー首相率いるナチス党との協調路線を選ぼうとしており、反ナチスで民主主義者であるヘルベルトを、一族が経営する製鉄会社から追い出さなくてはならなかった。自身が突撃隊員で、突撃隊幕僚長のレームとも懇意のコンスタンチンは、ヘルベルトを排除すると同時に、一族における自身の影響力を広げようと目論んでいた。製鉄会社の重役であり、ソフィーの恋人でもあるフリードリヒは、エッセンベックの財力を親衛隊の勢力に取り込もうとするアッシェンバッハにけしかけられ、ヘルベルトやコンスタンチンらを押しのけて、ソフィーと手を組む自分がエッセンベックを支配ようと考えていた。
ヨアヒムの誕生日の夜、国会議事堂放火事件が起きる。政府は共産党員が犯人であると発表し、これを機会に共産党への粛清を強化する決断をした。同日、既にエッセンベックでの居場所を奪われたヘルベルトを逮捕するため、アッシェンバッハが手配した親衛隊の部隊がエッセンベック家に踏み込んできた。その騒ぎの最中、フリードリヒはヘルベルトの拳銃を使いヨアヒムを殺害。アッシェンバッハは親衛隊と刑事警察に、ヘルベルトをヨアヒム殺害犯として捜査するよう指示を出す。ヨアヒム殺害後、エッセンベックの密談が行われた。コンスタンチンはヨアヒムの遺産を引き継ぎ、製鉄会社の筆頭株主となるマルチンをお飾りの社長にして自分が実権を握ろうとしていたが、既にソフィー、フリードリヒ、アッシェンバッハらに懐柔されていたマルチンは、フリードリヒを次の社長に指名する。
ヨアヒムの葬儀が終わると、エッセンベック家では勢力争いが本格化。だがそれはエッセンベック家の内輪もめに収まらなくなっていた。党の私兵集団からドイツ正規軍への昇格を目論む突撃隊は、エッセンベックが作る銃火器を欲しがっており、コンスタンチンがその為に行動している。一方、ナチス党党首でありドイツ首相となったヒトラーは、将来的に実施するつもりの戦争を念頭に、国防軍との連携を重視。その国防軍は既に人員数だけは自分達を遥かに凌ぐ突撃隊を警戒しており、武器を渡すのを拒んでいた。親衛隊員であるアッシェンバッハは、国防軍に有利な方向で取り計らいを進めるが、コンスタンチンはあきらめていなかった。
ヒトラーが政権を握ったワイマール共和政は、急速に第三帝国へとその姿を変えていく。ギュンターの大学では焚書が行われ、トーマス・マンやヘレン・ケラーの書物が焼かれた。海外逃亡中のヘルベルトからギュンターに手紙が送られてきたことを知った学長は、顔をしかめて嫌悪感をあらわにする。ドイツ民族は、ハーケンクロイツの下で統一されつつあった。
そんなことはどこ吹く風で、マルチンは怠惰で退廃的な生活に浸っている。ヨアヒム最後の誕生会では、場末のキャバレーに立つ踊り子のような女装をし、卑猥な歌を歌う見世物で皆の度肝を抜いて見せた。普段は昼間から情婦のアパートに転がり込み、何をするわけでもなくすごしている。ある時、情婦と同じアパートにユダヤ人の幼い少女がいるのを知り、マルチンは少女をレイプし、少女は間もなく自殺する。地元の警察は証言などからマルチンに容疑を向け、警察に顔が利き、エッセンベックであるコンスタンチンに相談。これを好機としたコンスタンチンはマルチンを脅迫し、会社の主導権掌握と突撃隊への武器供与を一気に推し進めようと動き始める。
ソフィーとフリードリヒは窮地に陥り、ソフィーはアッシェンバッハに相談し、彼は一計を案じる。自分の計画を阻むコンスタンチン、膨張し続けヒトラー批判を隠すことすらしない突撃隊、そしてその突撃隊をまとめる幕僚長レーム。彼らを一網打尽にし、脅威と障害物を一気に排除してしまう作戦を考え始めた。
そして、1934年6月30日の朝がやってきた。「髑髏と黒衣」の進軍と共に。