執事
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執事(しつじ)は、中世以降につくられた職位で、主人の補佐・家政の指揮が職務であった。また宗教改革においてカルヴァンが教会の職制の一つとして執事職を定め、聖公会もこれを置いている。近代以降はイギリスのバトラーにならい、使用人の上位職をさすようになった。 中世のヨーロッパでは執事は家のすべてを任されており、財産の管理なども行っていた。その為主人には完全なる忠誠を誓っていた。 また女主人やメイドや使用人との恋愛はご法度となっており、中には自分の妻を屋敷の別宅に住ませたという主人も居た。しかし基本的に執事の結婚は認められては居なかった。 ほんの一人握りの執事は同性愛者が採用されていたという事実もある。
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[編集] プロテスタントの職制
ラテン語では diaconus といい、初代教会において使徒らを「食事の世話」などの共同体の雑用から開放し宣教に専念させるために置かれた職位を継承するものとされる(使徒言行録六章)。カトリック教会は助祭、また東方正教会は輔祭をその継承職とする。監督制の聖公会と長老制の改革・長老教会では、共通の訳語を用いているだけといっていいほどその理解が異なる。
[編集] 聖公会
職制理解はカトリックの助祭に近しい。主教の聖職者按手によって職位が与えられる。聖餐式を執行することが出来ない。ただし、主教の許可があれば分餐を行なうことはできる。礼拝時の服装は司祭とよく似るが、肩から垂らすストールを左肩から斜めにかけているので、見分けが付く。
[編集] 長老制教会
カルヴァンの提唱した教会の四職(牧師、神学教師、長老、執事)の一。教会会計、聖餐準備奉仕および互助・福祉などの分配を担当する。治会長老と同様に信徒職であり、教職位ではない。宗教改革の理解では、これは新設された職位ではなく、ローマの聖職階位制に変質してしまった初代教会の制度を聖書に基づき正しく復元したものとされる。
[編集] 使用人頭
欧米の使用人。各国に似たような職はあるがイギリスのバトラー(butler)が特に有名である。日本でも明治以降、華族、資産家が導入した。
従者たちに指示する管理職として大きな力を振るった。
現代では王侯か、かなりの資産家の家に存在するのみである。