外国人登録制度
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外国人登録(がいこくじんとうろく)は、日本において市町村と特別区で作成される外国人の住民に関する記録。
作成は外国人本人の申請に基づいて行われる。各市区町村ごとにその管内に居住する外国人の外国人登録原票が保管され、現住所の証明、人口の調査などに利用されている。日本に連続90日を超えて滞在しようとする外国人(無国籍者を含む)は、在日米軍や在外公館(大使館・領事館など)関係者といった一部の例外を除いて必ず登録する義務がある。詳細は外国人登録法で規定されている。
なお、日本人(多重国籍者のうち日本国籍を持つ者も含まれる)は住民基本台帳制度という別の制度で記録されている。
目次 |
外国人登録原票の記載情報
- 外国人登録番号
- 登録年月日
- 氏名
- 出生の年月日
- 男女の別
- 国籍及び国籍国における居住地
- 出生地
- 職業
- パスポート番号及び発行年月日
- 上陸許可日
- 在留の資格及び在留期間
- 住所及び住所を定めた年月日、届出年月日
- 世帯主についてはその旨及び世帯を構成する者の氏名、出生の年月日、国籍及び世帯主との続柄、世帯主でない者については世帯主の氏名及び世帯主との続柄
- 国内に父母及び配偶者で同一世帯でないものがいればその者の氏名、出生の年月日及び国籍
- 勤務所又は事務所の名称及び所在地
登録原票の取り扱い
登録原票は、住所が移動する際にそれに伴い、新居住地へそのまま送付される。つまり、登録原票は一度作成されると、国外に出国するまで一枚で管理されることになる。その意味では、日本人の場合の住民票と戸籍の役割を併せ持っていることが分かる。
外国人登録証明書の交付
外国人登録を行った場合、市区町村長は、登録原票の記載事項のうち、必要な部分を記載した外国人登録証明書を交付する。この証明書は写真つきカード形式で、外国籍の人の身分証明に一般的に用いられる。また、交付を受けている場合は、外国人登録証明書を携帯していれば、パスポートの携帯義務は免除される。
登録原票の閲覧、写しの交付
登録原票の写しは外国人本人または同世帯のものなど限られた者が外国人登録がある市区町村役所(市区町村によっては支所、出張所等も含む)で請求事由を明らかにし、それが不当でなければ、交付を受けることができる。
日本人の住民票と異なり、外国人登録原票は非公開となっているため、本人または同一世帯の者以外は申請者や理由が限定されており、ほとんどの記載事項が省略される。
外国人登録制度の問題点
- 日本人が他の市町村へ転居する場合は、原則としてそれまでの市町村に転出届、転居先市町村に転入届と、2段階の手続が必要となるが、外国人登録制度における市町村外転居では新市町村への転入届に相当する手続(居住地変更登録)しか課されていないため、その手続を怠ると途中の居住地が登録されなかったり、居住地が不明になったりする。
- 日本人の住民登録と同様に、単身赴任や遠隔地就学など認知されている居住地と外国人登録原票上の居住地が異なっている場合が多くある。
- 外国人登録者は、住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)の対象外で、住民票コード・住民基本台帳カードは交付されないので、それに基づいて行われる公的個人認証を受けることができない。
- 同居の家族・親族であることを対外的に立証する場合に、一人でも日本人が含まれている場合は注意が必要となる。日本人のみの世帯であれば住民票1枚で、外国人のみの世帯であれば外国人登録原票記載事項証明書1枚で、それぞれその世帯全員を立証することが可能であるが、日本人と外国人の混在世帯では、記録制度が住民基本台帳と外国人登録原票とに分かれているため、住民票では同居親族との証明をすることはできない。ただし、外国人登録原票記載事項証明書においては(日本人も含めて)世帯構成を記載することが可能となっている。
- 登録証不携帯に対する罰則(特別永住者以外の外国人は刑事罰、特別永住者は行政罰)は道交法における免許不携帯に科される反則金等よりも手続が煩雑で処分も重い。このため、この罰則規定は在日外国人及び彼らの待遇改善を要求して活動している個人・団体から不評を買っている。
- 外国人は登録証を常時携帯する義務があるのに対して、日本人は身分証明書の携帯義務がない(そもそも日本には成年の全国民に統一かつ義務的に交付される身分証明書の制度がない)。この点の差異を「不当な差別的取扱いである」と指摘する意見もある。
- 一例として韓国の住民登録証は、クレジットカードの申込みから旅券の発行、銀行の口座開設など有りとあらゆる場面で活用される。盗用などの問題等安全面も危惧されているが、IC化の予定も計画されている。尚、韓国では日本で人権問題とされた住民登録証への「指紋押捺」が現在でも行われているが、外国人だけが行わなければならなかった日本の場合と違い、自国民も含めた全住民が行わなければならないので、その点は平等といえるとする見方がある。