外国人研修制度
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外国人研修制度(がいこくじんけんしゅうせいど)は、開発途上国への国際貢献と国際協力を目的として、日本の技術・技能・知識の修得を支援する制度である。
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[編集] 歴史
1960年代後半に、海外進出した日本企業が現地法人から現地社員を招へいし、技術や知識を習得した現地社員が、帰国後、その技術を母国(開発途上国)で発揮させたことから、国際貢献と国際協力の一環として1981年に在留資格が創設された。
外国人研修制度の推進団体である財団法人国際研修協力機構(JITCO)は、研修生・技能実習生の受入れを行おうとする、あるいは行っている民間団体・企業等や諸外国の送出し機関・派遣企業に対し、総合的な支援・援助や適正実施の助言・指導を行っている。 また、研修生・技能実習生に対し、その悩みや相談に応えるとともに入管法令・労働法令等の法的権利を保障し、研修・技能実習の成果向上、研修生・技能実習生の受入れ機関と送出し機関等を支援している。1993年には,「学ぶ活動」である研修に加えて、「労働者として」実践的な技能・技術を修得するための技能実習制度が導入され、現在、研修・技能実習併せて最大3年間の滞在が可能となっている。なお、技能実習は、公的評価が可能な62職種114作業に限定されている。
[編集] 理念と基本枠組み
「外国人研修生」は、民営または国公営の送出し機関から送出されて来日し、日本側の受入れ機関において研修する。研修生の滞在期間は、基本的には1年以内である。開発途上国への技術移転を確実に行うため研修計画が作成され、研修生はこれにそって研修する。その後、国の技能検定基礎2級相当に合格する等、所定の要件を満たした場合には、同一機関(会社)で実践的な技術習得のために雇用関係の下で更に2年間滞在することが可能となる。これを技能実習といい、研修・技能実習と合わせると最長3年間の滞在期間となる。受入れ方式は大きく二種類に分かれ、事業協同組合や商工会議所等がそのメンバーである企業等と協力して行う研修生を受入れる形態を「団体監理型」といい、受入れ機関の合弁企業・現地法人・一定の取引先企業等から企業単独で受入れる形態を「企業単独型」という。受入れが可能な研修生数は、原則として、受入れ企業の常勤職員20名に付き、研修生1名である。ただし、「団体監理型」では、受入れ可能な人員の枠が緩和されている。近年、「団体監理型」による研修生の受入れが拡大しているが、問題点も多い。
[編集] 制度の問題点
近年では研修生の急増に比例するように人権侵害や事件が多発している。
典型的な事例は、パスポート取上げ、強制貯金、研修生の時間外労働、権利主張に対する強制帰国、非実務研修の未実施、保証金・違約金による身柄拘束、性暴力などで、2006年にはトヨタ自動車の下請け企業23社での最低賃金法違反、また岐阜県内の複数の縫製工場では時給300円で残業させていたことなどが報道された。
また、制度の趣旨と実態の乖離も指摘されている。いわゆる3K職種など日本人労働者を確保できなかったり、中国などの外国製品との価格競争にさらされている中小企業が、本来の目的である国際貢献ではなく、低賃金の労働力確保のために本制度を利用するケースが目立ち、研修生の中にも技能修得ではなく「出稼ぎ」として来日する者がいる。
このほか、1997年、技能実習期間を1年から2年に延長するときの国会論議を契機にKSD中小企業経営者福祉事業団(当時)と自民党議員の贈収賄事件が発生した(KSD事件)。
元法務副大臣の河野太郎議員(自民党)は自身のブログにて、本制度も含めた日本の外国人労働者受け入れ政策を「ほとんどイカサマ」と発言するなど[[1]] 、問題認識は広がりつつある。しかしながら、政府の審議会・研究会やプロジェクトチームでは存続・拡大路線が主流であり、研修・技能実習の期間を最大5年に拡大することや再研修が議論されている。確かに多少の法令違反はあっても総じて円満な研修・技能実習を実施している企業が大半であり、受け入れ企業のみならず研修生からも期間延長や再入国を求める声がしばしば聞かれるが、上記のような人権侵害が多発する現状においては制度の拡充よりも適正化が優先課題であろう。
[編集] 関連統計
「法務省出入国管理関連統計」によると、外国人研修生の入国は年々増加しており、2005年で83,319人、そのうち、財団法人国際研修協力機構(JITCO)が支援した研修生総数は57,050人(団体監理型:49,480人、企業単独型:7,570人)となっている。(2006年度版JITCO白書より)入国する外国人研修生の国籍は、中国が55,156人と全体の66.2%を占める。(2005年)
[編集] 外部リンク
- 財団法人国際研修協力機構(JITCO)
- 第3次出入国管理基本計画
- 特定非営利活動法人日中経技環協会 - 中国人を受入れる団体や来日する外国人に対して、適正な人選規定と職場や地域での諸問題の解決及び指導を行うと共に、受入れられる研修生等のメンタルヘルスを実施し、適正且つ公正な制度の利用を通じた相互間の理解ある交流を図り各種支援を行う団体。
- 特定非営利活動法人グローバル人材育成協会 - 「ヒトの移動」(専門的,技術的分野における外国人労働者の受入れの推進、人口減少時代への対応、留学生,就学生の適正な受入れ、研修・技能実習制度の適正化、長期にわたり我が国社会に在留する外国人への対応)に関する民間レベルの提言、会議、支援、提案等を行う。
- 日本経団連「第三次出入国管理基本計画における主要な課題と今後の方針」に対する意見ならびに要望
- 『外国人研修生 時給300円の労働者 壊れる人権と労働基準』外国人研修生問題ネットワーク
- 外国人研修生問題ネットワーク福井