夢十夜
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『夢十夜』(ゆめじゅうや)は、夏目漱石著の小説。1908年(明治41年)7月25日から8月5日まで朝日新聞で連載された。
現在(明治)を始め、神代・鎌倉・100年後と、10の不思議な夢の世界を綴る。「こんな夢を見た」という書き出しが有名。
[編集] 内容
- 第一夜
- 『こんな夢を見た。腕組をして枕元に坐っていると、仰向に寝た女が…』
- 死ぬ間際の女に「百年待っていてくれ」と自分は頼まれる。女の墓の横で待ち始めた自分は、赤い日が東から昇り、西へ沈むのを何度も見る。そのうちに女に騙されたのではないかと自分は疑い始める。その自分の前に、一輪の真白な百合が伸びてくる。いつの間にか百年が過ぎていたのだった。
- 第二夜
- 『こんな夢を見た。和尚の室を退がって、廊下伝いに自分の部屋へ帰ると…』
- 「侍なのに無を悟れていない」と和尚に馬鹿にされた自分は、悟りを開いて和尚を斬るか、悟りを開けず切腹するかの二択を自らに課す。 侍は悟りを開くため、無についてひたすら考える。
- 第三夜
- 『こんな夢を見た。六つになる子供を負ってる。たしかに自分の子である。…』
- 第四夜
- 『広い土間の真中に涼み台のようなものを据えて、その周囲に小さい床几が並べてある。…』
- 第五夜
- 『こんな夢を見た。何でもよほど古い事で、神代に近い昔と思われるが…』
- 第六夜
- 『運慶が護国寺の山門で仁王を刻んでいると云う評判だから…』
- 運慶が仁王像を彫っている。その姿を見ていた自分は、隣の男が「運慶は、木の中に埋まっている仁王を掘り出しているだけだ」と言っているのを聞いた。そこで自分でも仁王像を彫ってみたくなり、家の裏においてある木をいくつか掘り始めた。ところがいくら掘っても仁王は出てこない。自分は、何故運慶が明治時代まで生きているかを悟ったのだった。
- 第七夜
- 『何でも大きな船に乗っている。この船が毎日毎夜すこしの絶間なく黒い煙を吐いて…』
- 第八夜
- 『床屋の敷居を跨いだら、白い着物を着てかたまっていた三四人が、一度にいらっしゃいと云った。…』
- 第九夜
- 『世の中が何となくざわつき始めた。今にも戦争が起りそうに見える。…』
- 第十夜
- 『庄太郎が女に攫われてから七日目の晩にふらりと帰って来て…』
- 女に攫われた庄太郎が七日ぶりに帰ってきた。庄太郎は、連れて行かれた崖で「ここから飛び降りろ」と女に言われる。それを拒否した庄太郎は、「豚に舐められてもいいのか」と問われる。それでも拒否した庄太郎に、何万という豚が襲いかかったのだった。