大魔神
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『大魔神』(だいまじん)は大映(現:角川映画)が製作した映画、また大魔神の登場する特撮時代劇シリーズの名、および劇中に登場する守護神的存在の名称。シリーズは『大魔神』『大魔神怒る』『大魔神逆襲』の3作からなり、3作とも1966年に大映京都撮影所で製作された。時代劇と特撮を融合させた試みでも知られる。
シリーズのそれぞれは独立したエピソードをもつが、舞台設定を戦国時代におき、悪人が陰謀をたくらみ、穏やかな表情の石像だった大魔神が劇中で復活して動きだし、クライマックスで破壊的な力を発揮してカタストロフィーに終わるという劇構造を同じくする。これは、ユダヤのゴーレム伝説に材を取ったと言われ、1936年のチェコスロバキア映画『巨人ゴーレム』(監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ)は戦後は大映系で公開されている。
大魔神の造形は埴輪の武人像に着想を得ている。神としての正式な名前は阿羅羯磨(あらかつま)と設定されている。普段は柔和な表情をしているが、ひとたび怒ると憤怒の表情に変わる。このとき腕で顔を拭うような仕草(右腕で顔を下からかくしそのまま腕を上へうごかす、あるいは両腕を顔の前で交差させてからバンザイのような位置に腕をもっていく)をするのが特徴であり、トレードマークでもある。そのユニークなキャラクターが受けて、漫画やアニメではしばしばパロディの対象になり、後にテレビCMに採用されることもあった。制作が終了して20年以上後になっても、1989年にプロ野球入りした投手、佐々木主浩のニックネーム大魔神はこのシリーズにちなむなど、『ガメラ』シリーズと並んで大映の特撮映画を代表する看板キャラクターでもあった。
1990年代には当時徳間書店傘下に属していた大映で再映画化を企画した事もあったが、諸般の事情で制作は頓挫。企画はそのまま平成ガメラシリーズへと受け継がれることとなる。後に筒井康隆によるシナリオのみが2000年に公開された。
2008年、角川映画製作で復活する予定である(監督は『ゼブラーマン』、『妖怪大戦争』の三池崇史)。