天然樹脂
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
天然樹脂(てんねんじゅし)は、樹皮より分泌される不揮発性の固体または半固形体の物質のことである。
もともと単に樹脂といえば天然樹脂のことを指していた。 しかし有機化学の発達により、天然樹脂とはまったく化学的に別種の物質であるが、それと良く似た性質を持つ物質が合成されるようになった。 そこで従来から樹脂と呼ばれていたものを天然樹脂、化学的に作られるようになったものを合成樹脂として区別するようになった。
植物から得られる不揮発性の固形物質としては樹脂以外に蝋と油脂がある。 これらはそれぞれ成分が異なり、それによって区別される。 樹脂は主に樹脂酸といわれるカルボン酸とそのエステルからなる。 樹脂酸はピマル酸などのジテルペンに属するものと安息香酸やケイ皮酸などの芳香族カルボン酸に属するものに大別される。
樹脂は加熱により融解させることで流動性を与えることができる。 また多くの有機溶媒に可溶であるが、水には不溶である。 加熱あるいは溶解させて塗布可能になったものを塗布した後、冷却あるいは溶媒を揮発させると、表面光沢と透明感のある耐水性の皮膜を作ることができる。 そのため、古代より塗料やニスなどに使用されてきた。
また中には揮発性の精油成分を含有している樹脂も存在する。 これらは古代から香料として用いられてきている。
[編集] 樹脂の種類
下記外部リンクには、画材として用いられるものが説明されているが、装飾品、塗料にも用途がある。
[編集] 香料として用いられる樹脂
古代エジプトの時代から樹脂は神に捧げる香として用いられた。聖書にも香油の原料として、キリスト生誕時に献上されたものとして樹脂の記載がある。あるいは医薬としても用いられていた。
木を傷つけるとそこに樹脂が分泌されるのでそれを掻きとって集める。香料として用いる際にはこれを細かく砕いて水蒸気蒸留するか、あるいは有機溶媒に溶解させ不溶物を除いた後、有機溶媒を除く。前者によって得られたものはオイル(すなわち精油)、後者によって得られたものはレジノイドと呼ばれる。
以下に香料として用いられる樹脂を挙げる。