天狗裁き
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天狗裁き(てんぐさばき)は、古典落語の演目の一つ。元々、『羽団扇』という長編落語の前半部分だったものが独立して一席の落語となった。上方では桂米朝が得意とし、東京では古今亭志ん生が十八番にした。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] あらすじ
他人の夢とはなぜか気になるものらしい。
夢を見ていた八五郎。かみさんに起こされ、見ていた夢を質問されるがどんなに考えても思い出せない。結局《見ていなかった》と申告するが、おかみさんは『寝言を言っていたから夢を見ていたのは間違いない』と言う事をきかない。
そこから「夢を見たんだろ?」「見てないって言っているだろ!」と言い合いになってしまい、かっとなった八五郎はついかみさんに手を上げてしまう。
「殴ったね? 好きに殴りよ、さぁ殺せェ!!」
物凄い騒ぎになってしまい、びっくり仰天した隣の辰公が仲裁しに飛び込んでくる。
何とか八五郎のかみさんをなだめ、喧嘩を治めた辰公。ところが、今度はこの辰公が『夢の内容』を知りたくなってきた。
また喧嘩になってしまい、今度は表を通りかかった大家に仲裁をしてもらった。しかし、この大家もまた『夢の内容』を知りたくなってくる。
「大家と言えば親も同然、店子と言えば子も同然」という諺を盾に、何とか『夢の内容』を聞き出そうとする大家だが、見ていない物を説明できるわけがない。
「出て行け、店立てだ!!」「誰が出て行くか!?」「出て行かない? お上に訴えてやる!!」とまた大騒ぎになってしまい、訳も分からぬまま八五郎はお白州へ。
この珍妙な事件に奉行も面食らってしまい、最初は「くだらない事を持ち込むな!!」と八五郎を弁護するが、お裁きを進めるうちにこの奉行もまた『夢の内容』が知りたくなってしまう。
奉行に質問され、また「見ていません」と答えた八五郎。奉行は怒ってしまい、八五郎は高手小手に縛られ、奉行所の庭にある松ノ木に吊り下げられてしまった。
「何でこうなるのかな・・・」と考えていると、急に突風が吹いて八五郎の体がふわりと空へ・・・。
着いたところは鞍馬山。腰をさすりながら、八五郎が顔を上げると何と目の前に天狗が立っていた!
「ど・・・どちら様?」
「鞍馬山僧正坊である」
「何で、私はここに・・・?」
「あんな変な奉行に人は裁けない。だからわしが助けたのだ」
八五郎は大感謝するが、この天狗もまた結局のところ『話の内容』が知りたいだけだったのだ。
八五郎もとうとうキレてしまい、天狗に向かって「夢なんか見てない!!」と暴言を吐いた。これに怒った天狗が八五郎の首を絞め始める。
「ギャー、助けてぇー!!」
びっくりして目を覚ますとかみさんが横にいる。『夢だったのか』とほっとする八五郎に、おかみさんが
「どんな夢を見たの?」