対消滅
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対消滅(ついしょうめつ,pair annihilation)とは、粒子と反粒子が衝突し、エネルギーないし他の粒子に変換される現象である。対生成の逆。
電子の場合を例に取れば、電子と陽電子(電子の反粒子。電子と同じ質量でプラスの電荷をもつ)が衝突すると、電子、陽電子それぞれの静止エネルギー(それぞれ511keV/C2)とそれらのもつ運動エネルギーの和に等しいだけのエネルギーをもつ光子が放出され、γ線として観測される。たとえば、γ線源としてよく用いられるナトリウムの放射性同位体である22Naは、非常に精度の良い約511keVのエネルギーをもつガンマ線を出すことで知られているが、これは22Naの原子核がβ+崩壊によって放出される陽電子と、その周りに存在する電子が対消滅する際に2つの光子を放出する場合の光子である。対消滅では運動量が保存されるので、運動エネルギーをもたない電子と陽電子が対消滅して二つの光子を作り出す場合、エネルギーは均等に分配される。
[編集] 対消滅機関
対消滅機関は対消滅で発生するエネルギーを取り出す、SFではお馴染みの架空の原動機。燃料となる反物質の量は取り出せるエネルギーに比して極小ですむため、相当のエネルギーを必要とするはずの空間歪曲によるワープ、重力制御(慣性制御含)、超光速等を利用する架空の宇宙航法の主機関として想定されている。
- 対消滅機関が登場する作品
[編集] 参考文献
『図解雑学 素粒子』 二間瀬敏史(著)、ナツメ社