小皇帝
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小皇帝 (しょうこうてい)と呼ばれるものには以下のものがある。
- 中華人民共和国の一人っ子政策以後に生まれた中国の子供たち。両親に過保護されたことを揶揄してこう呼ぶ。本項にて説明。
- der kleiner Kaiser(ドイツ語)の日本語訳、ドイツ連邦共和国のサッカー選手、ミヒャエル・バラックのあだ名。「皇帝」(der Kaiser)と呼ばれた同国の往年の名選手フランツ・ベッケンバウアーを彷彿とさせるプレースタイルから、こう呼ばれる。
小皇帝 (しょうこうてい)は中華人民共和国の一人っ子政策以後生まれた子供たちのこと。主に男児に用い、女児は小公主(しょうこうしゅ)とも呼ばれる(公主は皇帝の娘を表す中国語)。
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[編集] 背景
中華人民共和国が成立すると毛沢東による大躍進政策のもと、人口増加が奨励された。これは中国の伝統的な「多子多福」という思想に基づくともいわれるが、毛が「いずれ人口は武器になる」と言ったように国際戦略的要素をもった政策でもあった。「人口が増加すれば食糧危機に陥る」との意見も政府内にはあったが毛は文化大革命でそれらの反対派を粛清した。
この結果、中国の人口は12億人に増加し、食糧危機が叫ばれるようになった。これを受けて政府は「一人っ子政策」を打ち出し、思い切った人口抑制政策を強いた。
[編集] 「小皇帝」の誕生
中国政府が「一人っ子政策」を打ち出した時期は鄧小平による「改革開放」路線が打ち出された時期よ重なっている。「改革開放」で生まれた多くの富裕層や中産階層は、生まれた「ただ一人の子」に過保護に走り十分過ぎる衣食、教育を施す傾向が見られるようになった。このような家庭環境で育った子供を「小皇帝」と皮肉をこめて呼ばれるようになった。
[編集] 「小皇帝」の現在
「小皇帝」世代は、生まれたときには「改革開放」による消費社会が現れており、その中で成長してきた。そのため、ファッションなど流行に関心が高く、また楽観的である。また高等教育を受けているため、職業に対する上昇意識が強く、大手企業のホワイトカラーとして働きたがる。21世紀のネット社会にもいち早くなじみ、中国のネット社会の担い手の中心である。
その一方、依存心が強く、忍耐力がないとも言われる。都市部には高学歴でも職にありつけない若者が増え、彼等が「憤青」の中心となることが多い。