徐庶
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
徐庶（じょしょ、？～ 234年？）は、中国三国時代の武将･政治家。字は元直（げんちょく）。
目次 |
[編集] 略要･人物
[編集] 概要
元の名は福であり、単家（ぜんけ、権勢のない家柄、或いは寒門）の出身と『魏略』にある。豫州穎川郡（現在の河南省許昌市）の出身。
[編集] 生涯
撃剣の使い手で、義侠心に厚く友人の敵討ちを引き受けるが役人に捕らわれる。後日友人が助け出し、心に強く感ずるところがあったので、以降は剣を捨て、学問に励むようになった。こうして出身地を同じくする石韜と親しく交際するようになった。後漢の中平年間（184年 - 189年）、戦乱が激しくなると、石韜と連れだって荊州に移住し、司馬徽の門下生となった。さらに、諸葛亮と特に親しくなった。
その頃、劉備は荊州・新野（河南省南陽市新野県）に駐屯していた。徐庶は劉備と会見し、劉備は彼を有能な人物だと思った。徐庶は諸葛亮を推薦し、劉備が徐庶に呼びに行かせようとすると、徐庶は「この人は、こちらから行けば会えますけれども、無理に連れて来ることはできません」と言った。こうして、劉備は三顧の礼で諸葛亮を迎え入れることになった。
のちに劉備が曹操に敗北した折、徐庶の母が曹操軍の捕虜になると、動揺した徐庶は劉備に別れを告げて曹操の元に赴いた。その後は魏に仕え、右中郎将・御史中丞にまで昇った。また石韜は典農校尉に昇った。後に諸葛亮は北伐を行なった際に二人の官職を聞き知り、各々の才能に不充分な官職と思い、「魏はとりわけ人物が多いのだろうか。どうしてあの二人は用いられないのだろうか」と嘆いたという。なお、徐庶の没年は不詳だが明帝期に亡くなったと『正史』に記されており、『魏略』によれば、諸葛亮と同じころに彭城で病死したと記されている。彼の伝は『蜀書』には立てられておらず、裴註に引かれた『魏略』が彼の事績を伝えている。 また、徐庶は御史中丞あたりまで「福」を名乗っていて、晩年に「庶」と改名したらしい。同じく『魏略』からの出典である。
[編集] 三国志演義などの徐庶
『通俗三国志演義』では、「単家出身」を姓と勘違いしたのか、『単福』を偽名として名乗ったとする。 新野時代の劉備と出会ってその軍師として迎えられ、新野城の攻防戦では曹仁･李典率いる魏軍五千を二千の兵で迎撃し、見事に打ち破る。その後、報復と称して曹仁･李典が二万五千の兵で南下するが、曹仁の八門金鎖の陣を見破り、完膚なきまでに叩き伏せた。
程昱の策による、徐庶の母親の筆跡を真似た偽手紙を受け取り、止むなく曹操に下ることになるが、去り際に劉備に諸葛亮を推薦する。また、曹操のために献策はしないという誓いを立て、劉備の下を去った。母親はこれを見て徐庶をなじり、自殺してしまった（「史実」では曹操の捕虜になっただけなので、その母は当然自殺はしていない）。
赤壁の戦いにも従軍したが、龐統が仕掛けた連環の計の真意に気づきながらもこれを見逃し、龐統の助言により涼州の馬騰に対する備えという名目で陣を離れ、被害を免れた。 ちなみに演義の第36回に、徐庶の弟の徐康（じょこう）が程昱の発言中に登場する。
