心身医学
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心身医学(しんしんいがく、Psychosomatic Medicine)とは、患者の身体面だけではなく心理・社会面を含めて、人間を統合的に診ていこうとする全人的医療を目指す医学の一分野である。
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[編集] 歴史
[編集] 心身症
心身症についての心身医学は、病気の発症や進行に心理的要因が大きく関わる器質性疾患を中心に扱う分野として主に内科学から発展していった。
初期の頃は「精神身体医学」と称されていた。
一般的に心身医学は精神医学の一部と捉えられており、精神医学を学んだものが扱うものと考えられている。精神医学とは独立して捉えられているのは日本のみであり、心療内科という診療科も日本独自のものである。
なお日本において「心療内科」が標榜科として認められたのは平成8年と比較的最近のことであり、この様な経緯から、また日本人の精神科に対する偏見等から、「心療内科」はしばしば「軽症の精神科」「薬を使わずに治療してくれる精神科」などと誤解される事がある。また精神科開業医(メンタルクリニック)の多くが、患者の抵抗感を払拭するために、あえて「心療内科」を標榜している場合も多い。
[編集] 癌の心理療法
癌の場合に、患者の精神面のカウンセリングなどを行って治癒の促進を図る療法がある。
同じような病状の患者に同じ治療を施しても患者の心理状態によって治療結果が大きく変わるとして、1970年代に米国のカール・サイモントンによって始められたサイモントン療法がある。心理腫瘍学、精神神経免疫学に基づく。日本へは1999年に導入され、NPO法人サイモントン協会が中心となり、認定セラピストによる治療が行われている。
日本では森田療法に基づく生きがい療法の実践が1980年代から続けられている。
[編集] 精神心理状態と身体の相互作用
心理状態が身体の状態に影響を与えるという実証的な研究が進んでいる。日本では1995年前後に、笑いやストレスがNK細胞の活性度をはじめとする免疫状態に影響を与えるという発表が行われた。
癌の場合には、末期がんの患者にカウンセリング治療を行った場合と、行わなかった場合とで、平均生存期間や生活の質(QOL)に大きな違いが生じたことが1978年にアメリカ合衆国のカール・サイモントンによって報告された。
[編集] 文献
- 増田彰則他、「健常成人男性におけるNK細胞活性と心理・行動特性、ストレス対処行動、慢性疲労の関係について」心身医学、35 (5) 383-390, 1995.
- "Getting Well Again" O. Carl Simonton, MD, Stephanie Mathews-Simonton, James L. Creighton, 1981. 和訳「がんのセルフコントロール」
[編集] 関連
[編集] 外部リンク
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