戸出七夕まつり
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戸出七夕まつり(といでたなばたまつり)は、例年7月3日から7月7日までの期間、富山県高岡市戸出地区にて行われる祭である。竹飾り本数は1,500本とも3,000本ともいわれ日本最大の規模を誇っている。
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[編集] 特長
- 全国的に七夕飾りを業者に委託する地域も多い中、住民などによる手作りの伝統を引き継いでいる。
- 自治会などの約20団体が「七夕コンテスト」でそれぞれの特大七夕の出来を競い合っている。
- イベントとしては毎年7月6日の夕刻に行われる「民謡踊り街流し」の他、「YOSAKOI戸出」、「ライブin戸出」などがある。
- 飾り付けの特長としては、赤提灯の多さが第一に挙げられる。これらの赤提灯の中には電球が入れられ、灯りがともされる夜には、幻想的な風景を楽しむことができる。
- 「かんざし」と呼ばれるボリューム感を出すための竹を横に通すため、竹飾りはヒラメのように平たくなっている。
[編集] 歴史
- 江戸時代(加賀藩政下)では、寺子屋にて教わる習字の上達を牽牛織姫の2つの星に祈るための七夕祭が盛んに行われていた。
- 明治維新後、青竹に赤くて丸い提灯や金銀などの色付き短冊を吊るして七夕を飾りつけ、7月6日夕刻より七夕飾りを町内を引きずりまわし、7月7日夜に千保川にそれを流す、という現在とほぼ同じかたちの七夕まつりが行われるようになった。
- このころより七夕まつりは子どもの成長を願う行事となってきた。子供のいる家庭では軒先に竹飾り出して、七夕まつりの日に親族が集まり子どもの健やかな成長を願った。
- 1954年(昭和29年)に4町村が合併し新たに新設された戸出町の町のシンボルとして、また商店街の振興を目的として、1963年(昭和38年)に戸出商工会の企画により現在の形の七夕まつりが開催されるようになった。
- その後、町、商店街、地域住民の協力により、現在では数千本という竹飾りが飾られる日本最大級の七夕まつりとなるまでに至っている。
[編集] 七夕コンテスト
- 七夕コンテストは、高さ10m以上で提灯100個、電球80個以上の特大七夕が対象となり、「金賞」(3本)、「銀賞」(8本程度)、「銅賞」のいずれかが与えられる。
- 「金賞」には最高位の「高岡市長賞」、第2位の「高岡市議会議長賞」、第3位の「高岡市観光協会長賞」がある。
- 2006年現在、「東町1組」が4年連続の最高賞(高岡市長賞)を受賞している。
- これまでの七夕コンテスト結果は以下の通り
2006年(第43回)最高位:東町1組、第2位:巴町、 第3位:新田町 2005年(第42回)最高位:東町1組、第2位:巴町、 第3位:東町2組 2004年(第41回)最高位:東町1組、第2位:巴町、 第3位:東町2組 2003年(第40回)最高位:東町1組、第2位:巴町、 第3位:東町2組 2002年(第39回)最高位:東町2組、第2位:東町1組、第3位:巴町 2001年(第38回)最高位:東町1組、第2位:巴町、 第3位:東町2組 2000年(第37回)最高位:東町1組、第2位:巴町、 第3位:東町2組 1999年(第36回)最高位:巴町、 第2位:東町1組、第3位:東町2組 1998年(第35回)最高位:東町2組、第2位:巴町、 第3位:東町1組 1997年(第34回)最高位:東町1組、第2位:東町2組、第3位:巴町 1996年(第33回)最高位:巴町、 第2位:東町1組、第3位:東町2組 1995年(第32回)最高位:東町2組、第2位:巴町、 第3位:東町1組 1994年(第31回)最高位:東町1組、第2位:巴町、 第3位:東町2組
[編集] 文化
- 七夕まつりは特に男の子のまつりとされる。
- 男の子のいる家庭では七夕飾り竹の下のほうに、男の子の名前と、武者や金太郎などの絵を描いた行灯を飾り、男の子の健やかな成長を願う。
- また商店街地域では七夕まつり最終日の7月7日の夜、長男の生まれた家庭の七夕の竹を引きずりまわす慣わしがある。
- 7日夜11時過ぎの露天商がいなくなった頃、その家の七夕飾りを倒して提灯や電球、大きな飾りを外した後、「わっしょいわっしょい」と町内中を引きずりまわす。
- 以前は引きずりまわした後の竹を戸出地域を流れる新川(千保川)へ投げ込んでいたが、現在は川への投げ込みは行っていない。
[編集] 戸出音頭・戸出小唄
- 民謡踊り街流しの際に流される「戸出音頭」「戸出小唄」は、昭和27年(1952年)、戸出屋台祭りの始まりを記念して共に歌詞を公募してつくられた。戸出屋台祭りは昭和35年頃より行われなくなったが、2曲は戸出を代表する曲として残った。(巴町の大七夕は戸出屋台祭りで使用されていた屋台の上に飾り付けられている。大きな車輪を持ったこの屋台は、幻の屋台祭りの記憶を留めさせる上でも貴重なものとなっている。)
- 昭和を感じさせるその哀調を帯びたメロディーにはファンも多く、戸出七夕まつりの象徴のひとつともなっている。
- 戸出七夕祭りの他では、戸出地区の小中学校運動会などでも踊り歌い継がれている。
- 「戸出音頭」:武田利雄作詞 小沢慎一郎作曲 小沢直与志編曲 戸出商工会選定
- 「戸出小唄」:中村芳雄作詞 小林三千三作曲 戸出商工会選定
- 「戸出音頭」歌詞(一部のみ)
- 戸出よいとこ
- 砺波の都ヨイヨイ
- 米のでどころ
- 米のでどころ
- 機織りどころ
- 風に流れる 風に流れる
- サテ心うかせる筬(おさ)の音
- サテ戸出音頭で
- よいとサッサ(以下略)
[編集] 参考文献
- 戸出史料
- 戸出町史
- 戸出400年のあゆみ