方墳
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方墳(ほうふん)とは墳丘の平面形が方形になる古墳のことで、古墳時代の全期間にわたって円墳についで数多く築かれている。
古墳時代初頭ないし前期に築かれるものは、弥生時代の大和風の方形周溝墓や出雲風の四隅突出型墳丘墓の延長と考えられ、性格自体もほとんど変わらないとみなされているが、最近は、前方後円墳や土師器出現の時期を画期として、「方墳」の一種とみなされている。そのため「前期群集墳」という造語まで発生している。弥生時代の四隅突出型墳墓は、すでに古墳時代に作られる技術が多様に用いられていることから、古代出雲の技術を物語る。
前期方墳の代表例は、島根県安来市の大成古墳、造山古墳(1辺60m)が全国最大の規模を誇り、その他方墳も出雲に集中しており、前方後方墳の魁もみられる。 比較的小型のものが多いが、前方後円墳の築造が停止する7世紀には有力者の古墳の墳形に採用されている。例としては現在、用明天皇陵に指定されている大阪春日向山古墳(辺長63m×60m)や、推古天皇陵に指定されている山田高塚古墳(辺長63m×56m)、蘇我馬子の墓と考えられている石舞台古墳(上円下方墳との説あり)、千葉県の龍角寺岩屋古墳(辺長80m、高さ13m)などがある。また、島根県東部の出雲地方は方墳が特に多い地域として知られている。