書類送検
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書類送検(しょるいそうけん)は、刑事手続において、司法警察員が被疑者を逮捕せず、または、逮捕後釈放した後に、被疑者を非拘束のまま事件を検察官送致(送致、送検)すること。
[編集] 概要
被疑者の逮捕・勾留の必要がない事件や、被疑者が送検以前に死亡した事件、時効が成立した事件の被疑者が判明した場合などで行われる。「送検」や「書類送検」という言葉は、マスメディアで多く使用される用語であり、訴訟法や実務上は使用されない。
検察官送致とは、司法警察員が、逮捕された被疑者、書類および証拠物、事件を検察官に送る手続を指す。一般に、司法警察員が被疑者を逮捕しない場合の送致を書類送検と言い、逮捕した場合の送致を身柄送検(みがらそうけん)と言うこともある。
原則として、司法警察員が犯罪の捜査をしたときは、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない(刑事訴訟法246条本文)。ただし、例外的に送致しなくともよい場合が定められている(微罪処分、同条但し書。)。なお、司法警察員が告訴または告発を受けた場合には、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない(同法242条)。送致を受けた検察官は、裁判所に起訴するかしないかを決める。
司法警察職員が被疑者を逮捕した場合、司法警察員は、身柄を拘束してから48時間以内に検察官送致しなければならず(法203条)、送致を受けた検察官は24時間以内に裁判所に勾留を請求するか釈放するか決めなければならない(法205条)。これに対し、司法警察職員が被疑者を逮捕していない場合には、「速やかに」検察官送致しなければならないとされている。