月面車
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月面車(げつめんしゃ)とは、月面上を走行するために造られた自動車のこと。
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[編集] ソビエト連邦の月面車(ルナホート)
ソビエト連邦はルナ計画の一環として、アメリカに先駆けて月面車を月面へ投入した。1970年11月10日にルナ17号がルナホート1号を、1973年1月8日にルナ21号がルナホート2号が月面に到達している。
そもそもソビエト連邦の月面車は、有人月面着陸プロジェクトの一環として開発が開始されたものであるが、有人着陸のスケジュールが遅延(最終的には断念)したことから無人走行車となった。
4輪のオフロードバキー車に似たアメリカの月面車と異なり、洋式便器に8つの車輪がついたような外見は不格好そのものであるが、テレビカメラやX線望遠鏡など充実した観測計器を搭載しているほか、便器様の蓋の裏に搭載した太陽電池によりバッテリーを充電させ長期間の稼働を実現させている。1号は11ヶ月にわたり10km以上、2号は4ヶ月にわたり37km以上を走行し、多くの画像や観測機器のデータなどを地球に送信してきた。
[編集] アメリカ合衆国の月面車(ルナビークル)
アポロ計画の一環として、初の有人月面自動車として投入された。乗員は2名、全長3mの4輪バッテリー駆動車で、太陽電池は装着しているものの充電機構はない。アポロ15号、アポロ16号、アポロ17号の3回のミッションを通じて、宇宙飛行士の月面での移動や採取したサンプルの運搬などに用いられた。ボーイング社製。
[編集] 日本の月面車(ルナローバ)
日本の宇宙開発事業団と宇宙科学研究本部が共同し、無人の小型実験機の研究を開始している。事業団の一般公開日には、モデルが展示されることもある。
[編集] 中国の月面車
2007年2月発売のニューズウィークの記事及び中国の開発担当者の談話などから、中国は2010年頃に無人月面車の投入を検討していると伝えられている。2007年段階では、具体的な月面車の仕様や開発状況などは伝えられておらず不明である。
[編集] トピック
NASAでは現在でも技術開発コンテストの一部門に月面車の開発を掲げるなど、基礎研究を続けている。2006年のコンテストでは、100万ドルの賞金額であった。
[編集] 関連項目
- マーズ・パスファインダー(初の火星面探査車)
- マーズ・エクスプロレーション・ローバー(火星面探査車というよりもロボットに近い)