朧月夜 (歌曲)
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『朧月夜』(おぼろづきよ)は童謡、唱歌。文部省唱歌。作詞高野辰之、作曲岡野貞一。
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[編集] 歌詞
- 菜の花畠に、入日薄れ、
見わたす山の端(は)、霞ふかし。
春風そよふく、空を見れば、
夕月かかりて、にほひ淡し。 - 里わの火影(ほかげ)も、森の色も、
田中の小路をたどる人も、
蛙(かはづ)のなくねも、かねの音も、
さながら霞める朧月夜。
[編集] 概要
1914年(大正3年)『尋常小学唱歌 第六学年用』に初出。以前は小学校6年生の音楽教科書において、日本語の文語詩を教える教材として取り上げられていた。近年の童謡ブームに乗る形で、中島美嘉、マライア・キャリーに歌われた(紹介)。ただし、岡野貞一作曲、高野辰之作詩という説は、歴史学の方法によって特定された説ではない。つまり出所が不明な俗説である。もともと合議制で作られ、文部省著作物である。自筆原稿も発見されていない。つまり岡野作曲説、高野作詞説は学問的には認められる話ではない。よく言われる岡野貞一の葬儀関係の記事にも、「朧月夜」、「故郷」の作者と特定した記述はされていないのが実態。また文部省唱歌編纂者の近親者遺族が集まって著作権について話しあったことは一度ももない。何故、そのような状態の中で委員全員の没後、特定の個人に音楽著作権を認めたのか、というあたりに大きな問題があった。
詩は1番2番とも脚韻を踏み、各行4+4+3+3音で構成されている。特に2番の「も」音「ね」音の繰り返しが音楽的である。初めの2行に視覚的描写を置き、第3行で体性感覚、聴覚に言及し、最後の1行で締める起承転結の一種ともなっている。岡野はこれに弱起で始まる3拍子のリズムをあてはめている。