樽前山
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樽前山(たるまえざん、標高1,041m)は、北海道南西部、支笏湖の南、苫小牧市と千歳市にまたがる活火山。支笏洞爺国立公園に属する。
この火山は4万年前に大爆発を起こした支笏カルデラの南縁部に約9000年前に形成された後カルデラ火山である。北麓には同じ後カルデラ火山の風不死岳がある。有史以前にも数度大爆発を起こし、道央では鍵層となる軽石噴火を起こしている。江戸時代から明治時代には活発に活動しており1667年、1739年、1804、1874年、1909年に噴火を起こし軽石を周囲に降らせている。近年では1981年に小噴火が見られた。
山名の由来は、アイヌ語で「タオロマイtaor-oma-i」(川岸の高いところ・(そこに)ある・もの)。一般的にアイヌは山に山そのものを指す名前を付けず「これこれという川の上流(水源)の山」という名づけ方をすることが多いので、この言葉は現在の樽前山そのものを指すのではなく、樽前山の南側を下る現在の樽前川を指した言葉である可能性が高く、その水源として樽前山という名になったと思われる。樽前山そのものを指したアイヌ語の名称としては「ヲフイノボリ」が1807年の秦檍丸による東蝦夷地屏風にあり(渡辺2002)、増補千歳市史(1983)ではこれをオフィヌプリohuy-nupuri(燃える・山)と解釈している(ウフィヌプリuhuy-nupuriの方が同じ意味で一般的な表現)。「たるまえざん」、「たるまいさん」、「たるまいざん」とも言う。
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[編集] 樽前ドーム
1909年(明治42年)の噴火で、山頂には世界的にも珍しい溶岩ドームができた。樽前山熔岩円頂丘として、北海道指定文化財の特別天然記念物に指定されている。
[編集] 樽前山への登山
登山ルートは多岐にわたるが、一般的なのは国道276号から北海道道141号樽前錦岡線、林道を通り樽前山7合目登山口の駐車場から登るルートである。子供でも1時間程度で外輪山にたどり着けるため、地元小学校の定番の遠足地になっている。かつては支笏湖側から、苔の洞門と呼ばれる苔の密生した岩肌の間を通る登山道が存在したが、苔の保護及び崩落の恐れにより現在は封鎖されている。
なお、2001年には、火山活動がやや活発になり立ち入り禁止区域が設定された。現在(2006年6月)も外輪山の内側へは立ち入りが禁止されている。登山に当たっては火山情報などを確認し、立ち入り禁止のエリアには注意されたい。
[編集] 噴火時に懸念される影響
2000年に有珠山が噴火した際、JR貨物輸送などの北海道の物流は大きな影響を受けたが、もし樽前山が火山灰の広範な噴出を含む噴火をした場合、JRのほかに風下側にあたる新千歳空港が使用不可能になるなど、より大きな影響が懸念されている。過去の大噴火の際は、火山灰は日高山脈を越えて十勝地方にまで降灰している。
[編集] 風倒木災害
火山性の土壌であることはもとより、南側斜面が開けている地形となっていることから、南から吹き込む強風時には山麓の森林が一斉に倒木する被害を受けやすい。古くは洞爺丸台風の際に生じたほか、2003年の台風接近時には国道276号の両側の樹木が一斉になぎ倒され、長期間にわたり通行不能状態が続いた。現在でも道路の両側には、被害を受けた森林の跡地がぽっかりと開く異様な光景を見ることができる。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 気象庁「火山の観測資料:樽前山」
- 気象庁「火山監視カメラ:樽前山」
- 国土地理院「航空写真:樽前山」
- 国土地理院 地図閲覧システム 2万5千分1地形図名:樽前山 (南西)
- 樽前山 (ちとせタウンガイド、千歳市)
[編集] 参考文献
- 渡辺隆「蝦夷地山名辞書 稿-松浦武四郎文献を中心に」『北の山の夜明け』、高澤光雄、日本山書の会、2002年。
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