淡水魚
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一生を淡水中に過ごさなくとも、ウナギやアユのように一生の一時期を海水中で過ごすもの、ボラやスズキなど本来海水魚でも汽水域や淡水中に侵入するものも淡水魚に含む。
このうち、全く淡水域を出ないものを一次淡水魚、あるいは純淡水魚と呼び、汽水域や海水域から淡水に進出するものを二次淡水魚とよぶ。
一次淡水魚は海水域を通過できないので、淡水で連なった水系から外に出るのが困難である。人の手による移入を除けば河川争奪などがない限り他の河川へ移動することはほとんどなく、地域による遺伝的な変異が多い。また、琵琶湖やバイカル湖など、いわゆる古代湖のように淡水域だった歴史が長く、その規模の大きい地域では多くの固有種が見られる。アマゾン川の魚の種数は大西洋全体より多いと言われる。
ただし、現在ではアユやニジマスなどの有用魚種の放流に伴って、それに混入した他の魚も分布を広げている例があり、野生淡水魚の分布の攪乱が問題になっている。たとえば琵琶湖のアユを捕獲して他の河川に放流することで、オイカワ、カワムツ、ムギツク、ハス、ワタカ、さらにはブルーギル、ブラックバスなどもアユに混じって分布を広げている。同様の事象は国外にもある。マス類など有用魚種の移植は世界中で行われた経緯があり、そのため原産の固有種が絶滅に瀕した、あるいは絶滅したなどの例が知られる。チチカカ湖やタンガニカ湖などはその例である。