ニジマス
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?ニジマス | ||||||||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Oncorhynchus mykiss Walbaum, 1792 |
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英名 | ||||||||||||||||||||||||
Rainbow trout |
ニジマス (虹鱒、学名 Oncorhynchus mykiss、英名 Rainbow trout)は、サケ目サケ科に属する淡水魚。日本が原産ではなく、北米からの外来種である。食用魚であり、釣りの対象にもなる。
体全体にはっきりした黒点があり、エラから尾びれにかけての体側部に赤から赤紫色の模様があるのが特徴。繁殖期のオスに現れる婚姻色として、非常に見事な虹色の光沢が発色し、それが名の由来ともなっている。仏語ではトリュイット・アルカンシエル (truite arc-en-ciel)。
目次 |
[編集] 原産地と生息地
原産地は、太平洋東岸(アラスカ、カナダ、アメリカ)とカムチャツカ半島。日本へは1877年に北アメリカから移入され、これ以後、各地の渓流や湧水地帯で養殖、放流が盛んに行われた。その個体の一部が、北海道などを中心にして全国各地の河川や湖沼で野生化、繁殖しており、自然状態で定着した外来種となっている。日本以外にも、世界中へ移入されており、生態系に深刻な影響を与えている地域も多い。
[編集] 生態
全長は約40センチメートル程度が一般的だが、大きいものは60センチメートルから1メートルにまで成長することもある。基本的には、一生を淡水で過ごす陸封型の魚。夏でも水温が摂氏12度以下の冷たい水、特に流れが速く、酸素を多く含む川に生息する。冷水の湖などにも生息する。熱帯地域にも移入されたが、これは標高1200メートル以上の高地である。肉食性で、水生昆虫や貝類、甲殻類、他の魚の卵や小魚などを食べる。
繁殖時期については、秋から冬にかけて繁殖行動を行なう集団・個体と、春から初夏にかけて繁殖行動を行なう集団・個体に分かれている。生まれてから2–4年目の間に成熟する例が多く、他のサケ属の魚(シロザケなど)とは違い、成熟後は1回の繁殖行動では死なず、数年にわたって繁殖行動を行なう。
一方、ニジマスは海水適応が可能な種として知られている。なかには汽水域や海に下る個体もいて、他のサケ類のように海を回遊し、河川への遡上を行う。降海型の個体は、特に大きく成長しやすく、全長1.2メートル、体重25キログラム程度の記録もある。頭部上面が黒っぽくなるので、日本ではテツ、英語ではスチールヘッド (Steelhead) などと呼ばれる。この個体が産地周辺の川を遡上することがある。
食味や釣獲時の魚の引き具合を追求するため、ドナルドソンやクイーントラウト、ヤシオマス等、品種改良や近年の遺伝子組み換え技術により、ニジマスを元に多くの品種が人為的に開発されている。また、養殖魚の中には、アルビノニジマスやコバルトニジマス、ホウライマスなどのような、体色が突然変異したニジマスもある。これらは、観賞魚としても飼育され、一部はペットショップや観賞魚店(熱帯魚店)などでも販売されている。
[編集] 食材
春先から夏にスーパーに出回ることが多い。120–140グラム程のサイズは、白身で塩焼きやムニエル、甘露煮として食べる。2–3年程かけて2–3キログラムほどに育てたものは、サーモンピンクの身になり、生食(特に刺身)などがメインとなる。輸入物の鮭鱒に比べて脂ののりは薄いが、さっぱりとして癖が無いのが特徴となる。通常の輸入鮭鱒と比べても高価な部類に入る上に、生産量が少ない為、一般的に消費者の口に入る機会は少ない。
スーパーにてサーモントラウト、トラウトサーモン、トラウト等と表示される切身は、ノルウェー、チリ産の海面養殖されたニジマスの一種であることが多いようである。これらの名前は商品名であり、魚種を示す名前ではない。国産の養殖の大型ニジマスはこれらに比べて比較的高価であり、輸入物のサーモントラウトと比較すると2–3倍の価格であることが多いようである。
また、寄生虫がいる為に、生食が出来ないというのは国内の養殖ニジマスに関しては誤りである。過去20年間に渡り、養殖ニジマス6,306個体を検査した結果、寄生虫は発見されていない。鮭鱒類に寄生しているサナダムシ(日本海裂頭条虫)は海を回遊中に寄生する為、国内で養殖する際には寄生されない。
2006年現在では静岡県が生産量として最も多く、続いて長野県、山梨県の順に生産量が多い。静岡県では富士山の麓に位置する富士宮市が、市町村単位では日本一のニジマス生産量を誇り、養殖に必要な湧水が非常に豊富なことで有名である。また、長野県では北アルプスからの湧水が豊富な安曇野市などで、山梨県では富士山からの湧水が豊富な富士吉田市などで生産量が多い。
この他、滋賀県(米原市にある県立醒井養鱒場が中心)、北海道(中心となる生産地は、上川支庁管内の大雪山系の山麓にある上川町)などでニジマスの養殖がさかんである。青森県むつ市では、2年間淡水で養殖したニジマスを10月から11月に津軽海峡沖合の生簀に移して7–8か月間養殖し、「海峡サーモン」として5月から7月にかけ出荷している。
また愛知県水産試験場は、ホウライマスにイワナ或いはアマゴ・ヤマメを交雑させた『絹姫サーモン』という一年中美味しい肉質が保てるという利点がある魚をバイオテクノロジーで作り出した。[1]
長野県水産試験場もニジマスとブラウントラウトを交雑させ両者の良いところを受け継いだ「信州サーモン」をバイオテクノロジー技術で開発した。[2]
全国各地で駅弁の食材として使用されていることも多く、JR米原駅の「元祖鱒寿し」、JR新山口駅の「ますずし」などが特に有名である。
[編集] 釣りの対象としてのニジマス
ニジマスは、釣りの対象魚としても人気がある。
- 管理釣り場では初心者や子供も手軽に釣りを楽しめる。管理釣り場のニジマスは肥満した固体や30センチ以上の大型も多いので竿もパワーのあるもの(安価な万能竿など)を選びたい。浮子(うき)を使い、糸も太めでよい。エサ(イクラやブドウ虫など)をつけ、ニジマスの目の前に落とす。アタリが来たら竿をあげる。針を飲み込まれることが多いので注意する。ニジマスは食いつきもよく、引きもなかなかで、味もよい。家族そろってのレジャーに最適である。
- 河川での釣りは渓流釣りとなる。浮子釣りではなく、浮子の代わりに矢羽などの目印をつけたミャク釣りで行う。糸も細くし、エサもトビケラ、カワゲラ、ミミズなど河川に生息する虫を使うと良い。釣法はヤマメ・イワナなどに準ずるが、釣り上げるのがやや容易で、渓流釣り師の間では入門魚として見られ、ヤマメ・イワナなどの前座のような扱いにされることが多い。河川でもやや大型が多いことを考慮したい。
- ダム湖や本流(上流域の下流部)には40センチを超える大物もみられる。中でも、特に大型で肉付きも良く、ダイナミックなファイトをするものは、ビッグ(あるいはモンスター)レインボーと呼ばれ、釣り師の大きな目標となっている。
- 野生化すると小魚や、落下した昆虫などへの反応もよくなるので、フライフィッシングやルアーフィッシングで盛んに狙われるゲームフィッシュである。ゲームフィッシングでは、基本的に魚を釣り上げても持ち帰らずに逃がすキャッチ&リリースがマナーのひとつとなっているが、フライパターンなどを探るために腹を割いて調べることもあり、その際には供養の意味もこめて食した方がよい。
- 毛鉤を使った日本の伝統的なテンカラ釣りも行われており、こちらもヤマメ・イワナなどへの入門魚のような感覚で釣られている。もともと渓谷周辺の集落に住む人々が、食事のおかずの調達のために行った釣りで、フライフィッシングほど「ゲームフィッシング」という考え方は定着しておらず、日本古来からの伝統芸のような雰囲気を持つが、簡単な服装で行うことができることもあり、徐々に注目されてきており、テンカラ釣りの専門誌も多数でている。
[編集] 近縁種
ニジマスの近縁種としては、同じく北米大陸の西海岸(太平洋岸)の河川、湖沼に生息し、陸封型と降海型があるカットスロートトラウト (Cutthroat Trout, Oncorhynchus clarki clarki)や、アメリカ合衆国のシエラネヴァダ山脈やロッキー山脈周辺の河川の最上流域や山上湖に生息するゴールデントラウト ([[Golden Trout, Oncorhynchus aguabonita) などが知られている。ゴールデントラウトは、滝などの地質構造の変化と氷河によって氷河期に河川の下流域から隔離され、河川の最上流域に陸封された完全な淡水型のマスである。