減算方式
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減算方式(げんざんほうしき)は、倍音を多く含んだ音源から、倍音成分を文字通り引くことによって音を作る方式である。
理論的には、すべての音はサイン波の合成で作れるはずである、というところから出発し、実際に最初に出てきたのは 加算方式でなく減算方式である。多くのアナログシンセサイザーは、この方式を採用している。
倍音を多く含んだ音から、適当に倍音成分を削り取ることで目的の音に近づける。
この方式では、元となる音源波形を作り出す発振器であるオシレータ、倍音を削り取るフィルター、音量変化を作り出す アンプリファイアーという大きく分けて3つの部分から構成されている。
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[編集] オシレータ
詳しくはオシレータの頁参照。
アナログシンセサイザーの音源波形としては、鋸歯状波、サイン波、三角波、方形波、パルス波など、多くの倍音が合成された波形がよく用いられる。
なお、オシレータは1つとは限らず、 音に広がりを持たせるため、複数個持つものも多い。
[編集] フィルター
フィルターは、オシレータで作り出された音源から、ある周波数以上の倍音を一定の割合でカットする装置である。この、 カットが始まる周波数のことをカットオフフリーケンシーと呼ぶ。詳しくはフィルタ回路の項参照。
[編集] アンプリファイアー
アンプリファイアーとは、音量変化を作り出す部分である。詳しくはアンプの頁参照。
ここでいう音とは、全体の音ではなく、1音である。
実際には、エンベローブジェネレータというところでベロシティカーブを作り、その波形に従ってアンプリファイアーが、音量をコントロールする。
[編集] 減算方式の長所・短所
通常楽器の音は倍音成分を多く含むが、それ以外の音も多く含む。特にアタック音は倍音以外の音を多く含み、しかも このアタック音がその楽器の音を特徴付ける。しかし減算方式では原理的に、オシレータ音源に含まれる倍音以外の音は作り出せない。
ゆえに、楽器のシミュレータとしては、不利である。
けれども、アナログシンセ(多くは減算方式)独特の温かみのある音は、魅力的であると言われているし、また操作性の面では、 オシレータ、フィルター、アンプリファイアーが、各々ピッチ、音色、音量に対応しており、直感的に音を作りやすい、という長所を持つ。