独自の戦い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
独自の戦い(どくじのたたかい)とは、国政選挙等において、泡沫候補・弱小候補が行う選挙活動を表現するために報道機関が用いる用語。慣用句。転じて、主流・本筋とはかけ離れた方向・距離・観点において独特の活動を行うことを揶揄して用いることもある。
[編集] 概要
選挙に関する報道においては公平性が求められ、報道各社は立候補者全員の氏名や政党名、肩書き、その所信などを報道することが通常である。しかし、到底当選が望めない、いわゆる泡沫候補が立候補している場合があり、一方では国政選挙等の大規模な選挙の場合には候補者が多数おり、紙面や放送時間にも限界がある。そこで、限りある紙面や放送時間を分配する為に、報道各社においてある程度の裁量によって候補者に軽重がつけられているのが実情である。(泡沫候補を参照)
このような事情から、泡沫候補・弱小候補については形式的な公平を保ちつつ、出来うる限り簡潔に報道する手法が取られることになる。
この用語が用いられるのは、特に各々の報道機関としての分析を加え報道する選挙戦の情勢分析においてである。直接的な表現を用いて「○○候補は当選不可能」等の分析報道は選挙妨害になる恐れもあるため、例えば政党要件を満たすが党勢が弱い党派の候補者の場合は「党勢拡大を狙う」や「前回選挙得票からの上積みを狙う」「浸透が弱い」などと表現し、遠回しに「党派としての活動は行ったが候補者個人としては善戦に終わると予想」していることを表す。このような表現の場合には結果として当選となったとしても間違った表現をしたことにはならない。
ところが、泡沫候補においては所属政党が無い場合や、従前の政治活動が不明であることも少なくない。また、選挙ポスターを貼らない、街頭演説を行わない、選挙公報に原稿を提出しない、政見放送の収録に来ない(政党所属候補以外政見放送が流されない衆議院議員総選挙を除く)等、報道機関としても選挙活動状況を把握できないような候補者である場合もある。
そこで、このような候補者について文字通り「独自・独特の観点や価値観で立候補し選挙活動を行っている」という意味で、短く簡潔に表現した慣用句として「独自の戦い」という用語を用いるようになったものである。
[編集] 使用例
- (神奈川11区)(横須賀市、三浦市)小泉純一郎(自前)が盤石。参院議員から転じた斎藤勁(民新)は無党派層にどこまで食い込めるかがカギ。瀬戸和弘(共新)は党勢拡大を狙う。天木直人(無新)、羽柴秀吉(無新)は独自の戦い。
- (2005年8月27日日本経済新聞朝刊「衆院選公示前の情勢・南関東」から引用)
カテゴリ: 政治関連のスタブ項目 | 選挙 | 泡沫候補