環境と開発に関する国際連合会議
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環境と開発に関する国際連合会議(かんきょうとかいはつにかんするこくさいれんごうかいぎ、英 United Nations Conference on Environment and Development、UNCED)とは、1992年、国際連合の主催により、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催された、環境と開発をテーマとする首脳レベルでの国際会議のことである。
この会議は、一般には地球サミット(the Earth Summit、国連地球サミット)と通称されることが多い。ただし、この会議を引き継ぐ形で10年後に開かれた後述の「持続可能な開発に関する世界首脳会議」も、併せて「地球サミット」と呼ばれることがある(後者は特に「第2回地球サミット」「ヨハネスブルグ地球サミット」「地球サミット2002」などと呼ばれる)。
また、「環境と開発に関する国際連合会議」の呼称としては、ほかに国際連合環境開発会議、地球環境サミット、環境と開発のための国際連合会議、リオ・サミットなどがある。
国際連合の主催による環境や開発を議題とする会議は、1972年6月の「国連人間環境会議」(ストックホルム会議)以来、1982年の国連環境計画管理理事会特別会合(ナイロビ会議)、1992年の環境と開発に関する国際連合会議、2002年の「持続可能な開発に関する世界首脳会議」(環境開発サミット、ヨハネスブルグ・サミット)と、約10年ごとに開催されている。
このような流れの中、環境と開発に関する国際連合会議は、1992年6月3日から14日にかけて開催され、国際連合の招集を受けた世界各国や産業団体、市民団体などの非政府組織 (NGO) が参加した。世界172か国(ほぼすべての国際連合加盟国)の代表が参加し、のべ4万人を越える人々が集う国際連合の史上最大規模の会議となり、世界的に大きな影響を与えた。
環境と開発に関する国際連合会議の成果として、持続可能な開発に向けた地球規模での新たなパートナーシップの構築に向けた「環境と開発に関するリオデジャネイロ宣言」(リオ宣言)と、この宣言の諸原則を実施するための行動計画である「アジェンダ21」、「森林原則声明」が合意された。また、別途協議が続けられていた「気候変動枠組条約」と「生物多様性条約」が提起され、この会議の場で署名が開始された。さらに、環境と開発に関する国際連合会議を受けて、国際連合の経済社会理事会の下に「持続可能な開発委員会」 (CSD) が設置された。
環境と開発に関する国際連合会議の開催後、「生物多様性」「生物圏」といった用語が、各国の主要機関に認知され、一般にも知られるようになった。また、さまざまな地球環境問題や生態系、絶滅危惧種等に対する一般の関心が高まる契機ともなった。
また、世界各国の多くの非政府組織 (NGO) が参加し、会議の成功のために活発な活動を展開したことも、特筆されるべき点である。