田園交響楽
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『田園交響楽』(でんえんこうきょうがく、La Symphonie pastorale)はフランスのノーベル文学賞受賞者アンドレ・ジッドの小説。
目次 |
[編集] 苦境に書かれた作品
1910年に『盲人』という表題がジッドの頭に浮かんでいた。しかし、1910年から1918年にかけてジッドは苦境にあった。
- 信仰の危機
- 夫婦の危機
プロテスタント出身であるジッドの周りに居た弟子や友人がカトリックに改宗し、ジッドにも改宗を迫るなどした。外では第一次世界大戦にあり、難民救済に従事し、福音書に没頭して精神の支柱を見出そうとした。「われ嘗て律法なくして生きたれど、誡命(いましめ)きたりし時に罪は生き、われは死にたり」という言葉(聖パウロ)を支えに苦難を耐え抜いた。
又、マルク・アレグレという美青年との同性愛など、ジッドの荒れ狂う性生活により、夫婦生活に破綻を見せていた。
[編集] 梗概
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
「もし盲目なりせば、罪なかりしならん」の聖書の言葉を受け、ジェルトリュードは川に身を投げる。盲目の彼女が手術によって視力を遂に得、しかも彼女は「真実を知りたい」という切な願いを牧師に訴えてその手術した直後に、彼女は現実を見てしまった。身寄りも無く、無知で盲目だったジェルトリュードを牧師は純粋な慈悲の心から引き取ったつもりだった。やがて牧師と牧師の妻と息子、ジェルトリュードを巡って愛憎劇が展開される。いずれ4人とも『盲人』に過ぎなかったのだった。
[編集] 邦訳
- 『田園交響楽』新潮文庫 (翻訳:神西清) ISBN 4-10-204504-X
[編集] この記事の参考文献
- 『ジッドの作品と生涯』(新庄嘉章)
- 『田園交響楽について』(若林真) いずれも新潮文庫