秘密投票
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秘密投票(ひみつとうひょう)は、投票方式の一つ。対義語は公開投票。
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[編集] 概説
投票内容の非公開が保証される投票方法で、誰が何に投票したのか明らかにされることがない。現代民主主義の投票制度にとって、なくてはならない基本原則である。この方法を採用した選挙を秘密選挙という。
秘密投票には、選挙人に対する干渉を防ぐ目的がある。逆に投票の秘密が保証されない場合、投票先指図などの脅迫・強要、開票結果による報復、または買収・贈賄につながりかねず、正当な選挙が望めなくなる。
[編集] 歴史
世界で初めてこの方法を採用したのは1858年2月7日のオーストラリアタスマニア州。そのためオーストラリア式投票という名でも知られている。
日本では衆議院議員選挙法により1900年に導入され、1902年の衆院選以降採用されている。現在は日本国憲法第15条で「投票の秘密」が保証され、さらに公職選挙法46条で「無記名の投票」、同52条で「投票の秘密保持」が保証されている。同226~228条には罰則も規定されている。同68条6項の、投票用紙に対する他事記入禁止規定も投票の秘密を保持するためのものである。また国会の議長選挙では秘密投票が行われている。
[編集] 秘密投票の形骸化
ソビエト連邦をはじめとする東側諸国でも、憲法上は選挙における投票の秘密が保護されなければならないという規定が存在していた。しかし、投票において立候補者を信任する場合は受け取った投票用紙をそのまま投票箱に入れればよいが、不信任とする場合は部屋の隅にある記入台まで行って投票用紙に記入しなければならない、というような投票方式がとられたため、実際には投票の秘密は存在せず、当局の報復を恐れた有権者によって常に99%以上の信任票が投ぜられていた。
日本においても最高裁判所裁判官国民審査の投票用紙には罷免を可とする際にのみ記入することになっているため、選挙管理委員会が、同時に行われる衆議院議員選挙の投票用紙と同時に渡すといった配慮を行わないと同様の問題が発生することになる。