第一次戦略兵器削減条約
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第一次戦略兵器削減条約(だいいちじせんりゃくへいきさくげんじょうやく、STrategic Arms Reduction Treaty I、START I)は、アメリカ合衆国とソビエト連邦/ロシアとの間に結ばれた軍縮条約の一つである。
[編集] 概要
第一次戦略兵器削減条約は、米ソ間で1982年にSTART(STrategic Arms Reduction Talks 戦略兵器削減交渉)としてはじめられた交渉の中で結ばれた。START Iでは戦略兵器制限交渉 (SALT) を発展させ、主に核兵器とその運搬手段を対象とし、戦略兵器の新たな配備の制限から踏みこんで、既に配備されている戦略兵器の数を削減することを目的としている。
なお、1987年には同様の軍縮条約として中距離核戦力全廃条約が調印されている。
条約の交渉は、ソ連のアフガニスタン侵攻(1979年)に伴って、再び過熱した新冷戦が、1985年頃緩和したことに伴って促進、1991年7月31日に調印された。米ソは保有する戦略核弾頭数の上限を6,000発、大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)や爆撃機など戦略核の運搬手段の総計を1,600機に削減されることとなった。さらに、弾道ミサイルへ装着した核弾頭数も4,900発に制限された。条約履行の確認のために査察・監視も条約に盛り込まれている。これらは条約発効後7年で達成されるとした。
ソ連の崩壊に伴い、条約の継承国はロシア、ベラルーシ、カザフスタン、ウクライナとアメリカ合衆国になった。条約の批准は、ソ連の崩壊により1994年まで遅延した。旧ソ連の核弾頭については、ベラルーシなどからロシアに移送され、ロシアが解体を行った。2001年までに米ロ両国は、弾頭数の削減が終了したことを宣言している。
この条約の調印を受け、第二次戦略兵器削減条約の交渉が開始された。