筋弛緩剤
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筋弛緩剤(きんしかんざい)、筋弛緩薬(きんしかんやく)とは、神経・細胞膜などに作用して、筋肉の動きを弱める薬である。
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日本では筋弛緩剤点滴事件の影響で広く一般に知られるところとなったため、毒物のイメージが先行している。実際、医師によって正しく用いられない場合、呼吸不全などの重篤な症状を来たし、死に至る場合があり、多くの筋弛緩薬が毒物として取り扱われている。
天然の筋弛緩をもたらす薬物として、フグ毒であるテトロドトキシンや、ボツリヌス菌の毒素ボツリヌストキシンが知られており、これらの中毒を放置すると呼吸不全によって死亡することがある。d-ツボクラリンは「クラーレ」とも呼ばれる非脱分極性筋弛緩薬であるが、狩猟に使う毒矢に塗る成分として使われた。
[編集] 主な筋弛緩薬
- サクシニルコリン (SCC succinyl choline chloride) あるいはスキサメトニウム
- 即効性かつ数分で回復する脱分極性筋弛緩薬であり、電気痙攣療法の際の筋弛緩などにも適応となる。
- 臭化ベクロニウム、臭化パンクロニウム
- 神経筋接合部(NMJ)におけるアセチルコリン受容体を遮断する、非脱分極性筋弛緩薬。
- A型ボツリヌス毒素
- 神経筋接合部において、神経末端からのアセチルコリン放出を遮断する。眼瞼痙攣やジストニアなどに適応がある。
- ダントロレンナトリウム
- 悪性高熱症、悪性症候群の治療に使われる。
- バクロフェン
- 中枢性筋弛緩薬。
[編集] 適応
- 全身麻酔導入時や手術時の筋弛緩
- 気管内挿管時の使用
- 筋緊張が術野確保の障害となる場合の筋弛緩
- 手術侵襲による反射的筋収縮の抑制
- 骨折の非観血的整復の際の筋弛緩
- ジストニアなどの不随意運動の抑制
- 痙攣の抑制
- 頸肩腕症候群、腰痛症
- 痙性麻痺