紙入れ
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紙入れ(かみいれ)は、落語の一席。所謂『艶笑落語(バレ噺)』であり、原話は安永三年の『豆談義』に収録されている「かみいれ」。上方では落ちの後にもう一波乱有り、(間男にとって)さらに恐ろしい結末となっている。ちなみに、得意にしているのは十代目鈴々舎馬風。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] あらすじ
昔からよく聴くのが『町内に、知らぬは亭主ばかりなり』なんていう言葉。
本屋の新吉は出入り先のお上さんに誘惑され、旦那の留守中に上がり込んで奥さんといちゃいちゃしていた。そんな時にいきなり旦那がご帰宅、慌てた新吉は奥さんの計らいで辛うじて脱出に成功するが、こともあろうに、旦那からもらった紙入れをお上さん所に忘れてきてしまう。
しかも、紙入れの中には奥さんの『遊びに来て』という手紙が。
焦った新吉は逃げる事を決意、先方の様子を探ろうと、翌朝再び旦那のところを訪れるが旦那は何故か落ち着き払っている。変に思った新吉は、他の家の出来事と称して夕べの出来事を語ってみるが旦那はまるで無反応。ますます混乱した新吉が考え込んでいるとそこへお上さんが通りかかる。
旦那が新吉の失敗を話すと、お上さんは「浮気するようなお上さんだよ、そんな紙入れが落ちていれば旦那が気づく前にしまっちゃうよ」。
旦那が続いて「ま、例え紙入れに気づいたって、女房を取られるような馬鹿だ、そこまでは気がつくまいさ」
[ 上方バージョン ]
旦那が「女房を取られるような阿呆や」と言うと、お上さんが調子に乗って「その阿呆の顔を見てみたい」と言う。すると、突如旦那が自分の顔を指差して「会わせてやろう、その阿呆は俺や」